特集「こころを癒やす名水を求めて」

私たちの生活に欠かせない水。人間の体の大部分は水分で、体内のバランスを保つために水分補給はとても重要なこと。また、昔から大切にされてきた名水は、心の潤いも与えてくれるのでは。暑い季節は涼しさも感じられる、癒やしの名水スポットへでかけよう。
※掲載は、飲用に適することを保証するものではありません。飲料水として使用される場合は、ご自身で安全性をご確認ください。

味わう名水スポット

大阪を代表する名水でお茶を点てる贅沢(ぜいたく)
【離宮の水】

後鳥羽上皇によって造営された離宮「水無瀬殿」の跡地に鎮座する水無瀬神宮。その由緒にちなみ、手水舎の湧き水は「離宮の水」と名付けられている。境内のすぐ近くを流れる水無瀬川の伏流水が地下水となったもので、環境省の名水百選にも選定。神様にお供えされているほか、茶道の世界でも古くから愛されている。

a. 本殿・拝殿は国登録有形文化財。
b. 離宮の水は、夏でも冷たくまろやかな味わい。

離宮の水 <阪急京都線>
参拝自由
時間
取水は6:00~17:00
問い合わせ
075・961・0078
アクセス
阪急水無瀬駅下車 北東へ1km
住所
大阪府三島郡島本町広瀬3丁目10-24【Google Map】>

立ち寄りスポット
水無瀬の水を使った手づくり豆腐
【いちまるとうふ】

「離宮の水」と同じ源泉の水と、国産大豆100%、大分産の天然のにがりを原料に、昔ながらの製法にこだわる豆腐店。大豆の風味あふれる豆腐は角がなく、まろやかな口当たり。うすあげや湯葉のほか、名水で仕込んだ甘酒を加えた甘酒豆乳など、品ぞろえも豊富。

上から右回りで、「甘酒豆乳」174円、「きぬとうふミニ」108円、「寄せとうふ」226円。

a. 甘さひかえめ、食物繊維たっぷりの「おからドーナツ」1個30円。
b. 「離宮の水ブランド」の旗が目印。

いちまるとうふ <阪急京都線>
時間
9:00~19:00
定休日
日曜休(8月11~16日は休)
問い合わせ
075・961・5499
アクセス
阪急水無瀬駅下車 北東へ500m
住所
大阪府三島郡島本町広瀬4丁目22-5【Google Map】>
URL
http://www.ichimarutofu.com/index.html

長寿のご利益があるというお酒の神様
【亀の井】

松尾大社本殿右側の廊下をくぐると霊泉「亀の井」が現われる。奈良時代に湧き出したと伝えられているその水が酒造りに用いられたことから、酒の神様として崇敬されるように。諸病を癒やし、寿命を延ばすご利益があると言われており、水を求めて遠方から訪れる参詣者も多い。

亀の口から水が出ており、手水鉢は酒樽の形をしている。

a. 松風苑にある曲水の庭。昭和の作庭家・重森三玲による作品。庭園拝観料大人500円、学生400円、子ども300円。8:30~16:00(日曜・祝日は~16:30)。
b. 創建は大宝元(701)年。京都最古の神社の一つ。全国から奉納された酒樽がずらり。

亀の井 <阪急京都線>
時間
取水は5:00~18:00
問い合わせ
075・871・5016
アクセス
阪急松尾大社駅下車すぐ
住所
京都府京都市西京区嵐山宮町3【Google Map】>

千利休が愛した洛中の名水を味わう
【柳の水】

平安時代末期より湧き続け、茶人・千利休が茶の湯に用いた清泉。直に光が差すのを避けるため、井戸のそばに柳の木を植えたことから「柳の水」と呼ばれるようになったと伝えられている。現在は「京の黒染屋」の敷地内にある。微量な鉄分を含んだ軟水が黒染めに適し、昔から染物や飲料水として利用されている。

a. 現在も染物や飲料水に使われている井戸。
b. 黒染職人が全て手作業で染め上げている、深みのある黒色が特長の「黒の手ぬぐい」1,944円(左)、「ハンカチ」1,080円(右)。京の黒染屋で販売。

柳の水 <阪急京都線>
時間
取水は9:00~17:00(約1ℓ20円)
定休日
土・日曜・祝日休(8月14〜16日は休)
問い合わせ
075・221・4759(馬場染工業)
アクセス
阪急烏丸駅下車 北西へ900m
住所
京都府京都市中京区柳水町77-1【Google Map】>
URL
https://www.black-silk.com/

伊丹酒の仕込みに欠かせない良質の水
老松丹水おいまつたんすい

地下95メートルから湧き出る水は、江戸時代から酒の仕込み水として使われており、将軍への献上酒として格式の高い銘酒にも用いられていたのだそう。現在も伊丹老松酒造の酒造りに利用され、水道水よりもやや硬い“中軟水”で、のど越しの良い水が味わえる。毎日水を汲む人の列が絶えない人気の名水。

a. 水を湛えた石臼は、酒蔵で使用されていた精米用の臼。
b. 老松丹水を仕込み水に使用した、様々なお酒がそろう伊丹老松酒造。

老松丹水おいまつたんすい <阪急神戸線>
時間
取水は9:30~18:00(土・日曜は~17:00)
定休日
祝日休(イベント等で止水する場合あり)
問い合わせ
072・782・2470(伊丹老松酒造)
アクセス
阪急伊丹駅下車 北東へ500m
住所
兵庫県伊丹市中央3丁目1-8 伊丹老松酒造【Google Map】>
URL
http://www.oimatsu.biz/03_tannsui.htm

絶景の山上で味わう“まろやかな天然水”
妙見みょうけんの水】

「妙見の森ふれあい広場」では、平成5(1993)年に掘り出された天然水「妙見の水」がいただける。妙見山の地下171メートルから湧き出る水は、カリウムやマグネシウムなどのミネラルがたっぷり。清々しい山の空気のなかで味わうのはもちろん、持ち帰ってコーヒーやお茶を淹(い)れるのもおすすめ。

ミネラル豊富な冷たい水が湧き出る。
妙見みょうけんの水 <能勢電車>
時間
取水は10:00~16:30(土・日曜・祝日は9:20~17:30)
問い合わせ
072・738・2392(妙見の森ケーブル山上駅)
アクセス
阪急川西能勢口駅から能勢電車のりかえ妙見口駅下車後、阪急バス(または徒歩)、妙見の森ケーブルのりつぎケーブル山上駅下車すぐ
住所
兵庫県川西市黒川 奥瀧谷【Google Map】>
URL
https://noseden.hankyu.co.jp/guide/mountain/guidemap.html

神戸港から世界を旅した特別な水
【神戸ウォーター 六甲布引の水】

名水百選に選ばれた布引渓流の水が、地下深く浸透した中硬水。含有ミネラルのバランスが良く、口当たりまろやか。古くから、長い航海の間もおいしさが変わらない水として、神戸港に寄港する船乗りたちに好まれたのだとか。神戸クアハウス玄関前で、24時間取水できる。

a. 休日は行列ができるほど人気の水汲み場。
b. 左から「神戸ウォーターレモネード250ml」、「神戸ウォーター500ml」、「神戸ウォーター2L」。神戸クアハウスで販売。

神戸ウォーター 六甲布引の水 <阪急神戸線・阪神本線>
時間
取水は24時間可能(2分間放水、約18ℓ100円)
定休日
無休
問い合わせ
078・222・3755(神戸クアハウス)
アクセス
阪急神戸三宮駅下車 北東へ700m、または阪神神戸三宮駅下車 北東へ800m
住所
兵庫県神戸市中央区二宮町3丁目10-16【Google Map】>
URL
https://kobe-kua-house.com/water/

立ち寄りスポット
六甲布引の水で仕込んだここでしか味わえないビール
INイン THA DOORドア BREWINGブルーイング

店内に併設された醸造所で造られたビールと食事が楽しめるブルワリーパブ。店主が全て手作業で仕上げる同店オリジナルのビールは、「神戸ウォーター 六甲布引の水」を贅沢に使い、華やかな香りとまろやかなうまみを造り出している。ビールは定番の5種類のほか、地元兵庫の旬のフルーツやハチミツなどを使用した限定のスペシャルビアもあるので要チェック。(テーブルチャージ300円)

左から、ベリー系の香りが口に広がる「二宮FunkAle(にのみやファンクエール)」Sサイズ300円。柑橘系の香りとすっきりとした苦みが楽しめる「THA☆ALE(ザ・エール)」Sサイズ400円。

a. 二宮商店街や二宮市場内で購入した総菜を持ち込んで、ビールと一緒に。
b. 醸造所で作られた新鮮なクラフトビールが味わえる。

INイン THA DOORドア BREWINGブルーイング <阪急神戸線・阪神本線>
時間
17:00~23:00(土・日曜・祝日は12:00~。LO22:00)
定休日
水曜休
問い合わせ
078・222・6330
アクセス
阪急神戸三宮駅下車 北東へ500m
住所
兵庫県神戸市中央区琴ノ緒町3丁目3-26 1F【Google Map】>

見て・触れる名水

日本のウイスキーづくりを支える良質な水
【サントリー山崎蒸溜所】

良質な水と自然環境にこだわり、大正12(1923)年に日本初のモルトウイスキー蒸溜所が建設着手された。山崎周辺は古くから名水地として知られ、現在もこの名水から多くの銘酒が生み出される。「山崎蒸溜所ツアー」(1,000円、要予約)に参加すると、製造工程の見学やテイスティングにより、ウイスキーの奥深さをさらに堪能できる。

a. 天王山のふもとの湿度が高い環境は、ウイスキーの熟成にとって最適。
b. ツアーでは、シングルモルトウイスキー「山崎」の構成原酒を試飲できる。

サントリー山崎蒸溜所 <阪急京都線>
料金
【山崎ウイスキー館】入館無料※「山崎ウイスキー館見学」は、前日までに要予約。製造工程の見学はなし。
時間
10:00~16:45(テイスティングカウンターは~16:30LO。入館は~16:30)
定休日
不定休
問い合わせ
075・962・1423(予約受付)
アクセス
阪急大山崎駅下車 西へ800m
住所
大阪府三島郡島本町山崎5丁目2-1【Google Map】>
URL
https://www.suntory.co.jp/factory/yamazaki/

陰陽師(おんみょうじ)が湧出させたという神秘的な水
晴明せいめい神社】

平安時代に活躍した陰陽師・安倍晴明公を祀るパワースポットとしても人気の神社。境内には、晴明公が念力によって湧出させたと言われている井戸「晴明井」がある。その霊水には病気平癒のご利益があるとされ、毎年立春の日に井戸が恵方の向きに変えられている。口にすれば神秘的なエネルギーを分けてもらえるかも。

五芒星(ごぼうせい)をかたどった井戸。(写真提供:晴明神社)

a. 晴明公が祀られている本殿。フィギュアスケートの羽生結弦選手が「SEIMEI」を演じたことで、ファンが多く参拝することでも知られる。(写真提供:晴明神社)
b. 昔の風情をそのままに一條戻橋を境内に再現。(写真提供:晴明神社)

晴明せいめい神社 <阪急京都線>
拝観無料
 
時間
9:00~18:00
定休日
無休
問い合わせ
075・441・6460(社務所)
アクセス
阪急烏丸駅から市バスのりかえ一条戻橋・晴明神社前停下車すぐ
住所
京都府京都市上京区晴明町 806堀川通【Google Map】>
URL
https://www.seimeijinja.jp/

仏様の水として使われていた清浄な井戸
善峯よしみね寺】

古くから西山三山の一つとして親しまれている寺。本堂そばには、仏前に供える水を汲むための井戸として使われているお香水「閼伽井(あかい)」がある。また、同寺は桜や紅葉をはじめ一年を通して季節の花を楽しめる。広大な境内をゆっくりと散策してみては。

仏前に供する水を汲む、清浄な井戸。

a. 樹齢600年以上、全長37m、国の天然記念物に指定されている遊龍の松。
b. 元禄5(1692)年に建立された入母屋造(いりもやづくり)の本堂。

善峯よしみね寺 <阪急京都線>
料金
大人500円、高校生300円、小中生200円
時間
8:00~17:00(受付は~16:45)
定休日
無休
問い合わせ
075・331・0020
アクセス
阪急東向日駅から阪急バスのりかえ善峯寺停下車 西へ300m
⊚バスは本数が少ないのでご注意ください。
住所
京都府京都市西京区大原野小塩町1372【Google Map】>
URL
http://www.yoshiminedera.com/index.html

人々の喉と心を潤す水
鷲林寺じゅうりんじ

六甲山地の麓にある、弘法大師の開基と伝えられる真言宗の寺。境内に湧き出す「観音水」は、大師が火を吹く大鷲を桜の木に封じ込める際に使用した清水だと伝えられている。阪神・淡路大震災のときには、地元住民の飲み水となった。喉の病に効くと言われており、今では、参拝者や登山客の間でおいしいと評判になり、人気が広がっている。

火を吹いたといわれる大鷲。

a. 本尊十一面観音を祀る本堂。

鷲林寺じゅうりんじ <阪急神戸線>
時間
8:00~17:00
定休日
無休
問い合わせ
0798・71・8203
アクセス
阪急夙川駅から阪急バスのりかえ鷲林寺停下車 東へ800m
住所
兵庫県西宮市鷲林寺町4-8【Google Map】>
URL
http://www5b.biglobe.ne.jp/~jurinji/main.html

西宮の名水「宮水みやみず」とは?

ミネラル豊富で酒造りに最適
西宮神社(西宮市社家町)の南東500メートルの限られた地域で汲み上げられる地下水。「西宮の水」が略されて「宮水」と呼ばれるようになった。リンやカリウムが多く、鉄分を含まない酒造に適した硬水で、名水百選にも選ばれている。
灘の名酒を支える水
天保11(1840)年、櫻正宗の6代目・山邑太左衛門が、酒造用水として最適であることを発見。この水で仕込めば酵母の発酵が促され、キレのあるしっかりとした味わいの酒ができるという。おいしい酒の評判を伝え聞いた各地の酒造家が、競って宮水を使うようになった。

竹皮の香りに包まれた伝承菓子を堪能
御菓子司おんかしつかさ 虎屋吉末とらやよしすえ

享和元(1801)年創業の和菓子店。宮水の名称で有名な六甲山の伏流水で炊いた自家製餡(あん)を国産の天然竹皮で蒸した天津知羊羹(でっちようかん)は、上品な甘さでモッチリとした食感。同店の和菓子は添加物を一切使わず、店主が産地に出向いて厳選した素材で作るのが特長。

天津知羊羹は冷やして食べるのがおすすめ。

a. 木の看板が歴史を感じさせる。
b. 和三盆を使った干菓子や材料にこだわった菓子が並ぶ。

御菓子司おんかしつかさ 虎屋吉末とらやよしすえ <阪神本線>
時間
9:00~18:00
定休日
日曜休(8月20〜23日は休)
問い合わせ
078・851・2444
アクセス
阪神御影駅下車 南東へ400m
住所
兵庫県神戸市東灘区御影本町4丁目1-1 虎屋吉末【Google Map】>
URL
https://www.toraya1801.com/

淹れたてのコーヒーでほっと一息
【神戸にしむら珈琲店 御影店】

閑静な住宅街にある珈琲店。毎朝、酒造会社の井戸より汲み上げて運ばれる宮水を使ったコーヒーがいただける。鮮度を大切にしているため、時間が経ったものは提供しないというこだわり。熟練の技でも同じ味を出すのが難しいという、布製のネルドリップで淹れたコーヒーは、深みが増した味わいに。

a. 個別に焙煎し、6種類の豆の持ち味を引き出した「ブレンドコーヒー」550円。
b. 落ち着いた雰囲気の店内には、同店オリジナルのカップやコーヒー豆などが並ぶ。

神戸にしむら珈琲店 御影店 <阪急神戸線>
時間
8:00~22:30(LO22:00)
定休日
無休
問い合わせ
078・854・2105
アクセス
阪急御影駅下車 南へ300m
住所
兵庫県神戸市東灘区御影2丁目9-8 にしむら珈琲店【Google Map】>
URL
https://kobe-nishimura.jp/index.html

Well TOKK vol.10 2018年7月3日発行時の情報です。

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