更年期 自分のためにできるコト
〜心のゆらぎに香りの力〜

笹本英恵(Hanae Sasamoto) MAGNOLIA ディレクター・調香師

女性の“美と健康の守り神“ エストロゲンの働きとは

女性の体は、卵巣から分泌されるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)という2種類の女性ホルモンの影響を大きく受けています。更年期は女性ホルモンによってこれまで守られてきたものがあやうくなる時期。具体的には閉経の前後5年間を更年期と呼びます。平均閉経年齢は50歳と言われていますから、40代後半から不調を感じる人も多いはず。かく言う私も今年47歳ですが、集中力の減退、髪のぱさつき、皮膚の乾き、基礎代謝の低下を感じるようになりました。特に困ったのは漠然とした不安感。時に大きな不安感に襲われて電車に乗るのも怖い時がありました。

女性ホルモンのエストロゲンは「自律神経を正常に保つ」「気持ちを明るくする」「肌の潤い、髪の艶を保つ」「代謝を促進して肥満防止」「バストのふくよかさを保つ」等、女性の美と健康の守り神とも言える存在。

わたしたちの肌を艶めかせ、心を明るく保ち、健康的な体を維持してきたお守りがなくなっていく。それが更年期。エストロゲンの低下で影響を受けるのは、骨、筋肉、脳、情動、自律神経、免疫、皮膚、粘膜、代謝など!症状の出かたや感じ方は人それぞれですが、「これまで通りの体ではない」と心得ましょう。その上で、自分のために自分でできることをご紹介していきます。

香りの力で更年期のゆらぎをケア

女性ホルモン、特にエストロゲンの低下による不安感やこころの揺らぎ。自分の意思でどうにもできない部分をケアするなら、香りの出番!嗅覚の反応は直接視床下部に届き、体の機能調整に関わってくれます。植物から採取した天然の香り成分「精油」は嗅ぐだけで心がやすらいだり、心身のバランスをとることが得意な香りもあるのです。

更年期におすすめの香り

女性ホルモンバランスを整えることで有名なのはローズ、ゼラニウム、イランイラン。香りを知る人なら、ピンクや赤色など暖色のイメージが浮かぶかもしれません。女性は古来から花に例えられますが、まさに花々しい香りと言えます。

女性の味方といえばやはりローズ。クレオパトラが愛用したことで知られるように、美しさを引き出す香りの女王。高級な精油ですが1滴でも十分な香りと効能があると言われています。お値段的にも手に入れやすいのはゼラニウム。花ではなく葉から香りが採取されますが、ローズと香りが似ていることでも有名。圧倒的な安心感で包み込んでくれる母性を感じる香り。血流もよくするので代謝が落ちてむくみやすい体のマッサージにおすすめ。エロティックな気持ちを誘う効果で有名なイランイランは体を芯から緩める天才。呼吸が浅くなったり、焦りや不安が強くなりそうな時にどうぞ。濃い香りなので使用量に注意してください。

わたしの一押しはクラリセージ。エストロゲンの構造とよく似ていているそうです。陶酔感が強く、運転中には使用しないように注意書きが載るほど!香りのキーワードを考えた時に私が選んだのは「頭のおしゃべりをとめて」。寝る瞬間までスマホを持ち、常に頭を使い続ける現代人には、ストップをかけてくれるこの香りが必要なのではないでしょうか?更年期に限らず、使いこなしてもらいたい香りです。ただし、好き嫌いが別れる香りなので、使う時は大好きな香りに少し混ぜて使ってみてください。

もう1つ!花々しい香りが苦手な方にはサイプレスをおすすめします。サイプレスは糸杉と呼ばれるヒノキ科の樹木。青や緑をイメージさせる森林の香り。スッキリした香りがお好みの方はサイプレスを取り入れてみて。死と再生の象徴と呼ばれる神聖な木ですから、新しいステージへの移行期にゆれる私たちをしっかり支えてくれることでしょう。樹木から採取される精油はグラウンディングの手助けになります。自然と呼吸も深くなるのでイライラや焦りを鎮めることにも繋がりますよ。

■香りを嗅ぐ(芳香浴)
精油は揮発性なのでティッシュやコットンに1.2滴垂らすだけで周囲にほんのり香りが広がります。後始末もいらないので簡単アロマテラピー!私のおすすめはアロマストーン。熱源がなくても使えるし、見た目も可愛いものが多くインテリアの一部として飾っておけます。様々な製品があるのでお気に入りを探してみて。広範囲に香らせたい時はアロマライトやディフューザーを使いましょう。

■アロママッサージ
更年期は体も硬くなりがちなので、アロママッサージは是非日常に取り入れてください。

お好きなキャリアオイル(植物油)20ml
お好きな精油 合計4滴〜8滴

上記をお皿やガラス容器に入れて混ぜ合わせます。手のひらにとって、お肌に塗り伸ばしましょう。優しく塗布するだけでもOK。自分の心地よさを指標にしてください。作ったオイルは数日中には使い切るようにしましょう。肌に異常を感じたら洗い流してください。

■アロマロールオン
いつでもどこでも使えて便利。ロールオン容器に植物油と精油を数滴混ぜれば完成。肩こりにはサイプレス+ゼラニウム、不眠にはクラリセージ+ラベンダーなどその時々で香りを変えて楽しんでください。市販の製品も数多くあります。

<香りを使う時のコツ>
単体で嗅ぐと苦手な香りも好きな香りに少し混ぜるといい香りになります。自分の好きな香りを作り出して楽しんでください。ブレンドは料理と一緒!素材の特徴を掴めば自分なりのアレンジを楽しめるようになります。

更年期は移行期。体内のバランスが乱れ、体だけでなく、心のゆらぎが顕著に。
そんな時こそ、香りの力を頼ってみてください。

笹本さんがおすすめする、人生100年時代における更年期の過ごし方

■無理をしない
これまで通りにはいかない。無理がきかなくなる。それが自然のこと。
だからこの先は、無理のない生き方働き方にしませんか?
自分の限界にチャレンジするような働き方、生き方を改めてみる。時に断ることも大事。体の仕組み的にも挑む時期ではないと知りましょう。

■生活習慣の見直しをする
更年期は自分の弱い部分に不調が出やすくなります。さらに代謝も下がり、骨粗しょう症にもなりやすくなります。適度な運動、バランスのよい食生活はこれまで以上に必要です。

■休息をとる・自分を労る・ストレスを減らす
余計な人間関係は減らし、しっかり自分に休息を与えてあげましょう。

■検診で正しく体を知る
不調の有無にかかわらず、女性ならば一年に一度は婦人科で検診を受けましょう。これは20代で婦人科の重篤な疾患に見舞われた経験から、強くおすすめしたいことです。心の不安感や肌の疾患も、実はホルモンバランスが原因ということもありますからね。

これまで通りの暮らし方ではなく、新しい自分への移行期として、人生の見直しチャンスにいたしましょう!

 

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