女性の健康のこと、もっと知ろう。「『更年期高血圧』って何？」

仕事、子育て、介護……、30〜50代の女性は何かと忙しく、ついつい無理をしがち。
「何となく調子が悪い」「若い頃は低血圧だったのに、最近、血圧が高くなってきた……」
そんな悩みを感じる女性は少なくありません。
実は、更年期は血圧が不安定になりやすい時期。徐々に高血圧に移行し、心筋梗塞や脳卒中など深刻な病気を引き起こす場合も。
年齢を重ねても健康的な毎日が過ごせるよう、この世代ならではの悩みについて学んでみませんか？

監修：平田結喜緒（ひらたゆきお）先生

（公財）兵庫県予防医学協会副会長・健康ライフプラザ健診センター長。前先端医療センター病院長。東京医科歯科大学名誉教授。専門分野は内分泌代謝学、高血圧、分子血管生物学。日本内分泌学会評議員・理事、日本心血管内分泌代謝学会評議員・理事、日本心脈管作動物質学会評議員・理事、日本糖尿病学会評議員、日本高血圧学会評議員などを歴任。

女性のライフステージと高血圧の関係

高血圧の判断基準は、最大血圧（収縮期血圧）が140mmHg以上、最小血圧（拡張期血圧）が90mmHg以上のどちらか、あるいは両方が該当する人です（家庭で測る時は診察室で測るより5mmHg低い数値を基準に）。高血圧の人の割合は、若い年代では女性より男性の方が多いですが、50〜60歳代になると女性の割合が急増します（図）。その原因の一つが、更年期によるホルモンや自律神経の乱れです。

出典：厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査」を基に加工 収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上、もしくは血圧を下げる薬を服用している場合

女性は50歳頃に閉経を迎えますが、閉経の前後5年間、つまり45歳〜55歳ぐらいを更年期といいます。更年期になると、女性ホルモンの一つ、エストロゲンの合成が急激に低下した結果、めまいや動悸（どうき）、イライラなどの身体的・精神的症状が現れるほか、血管にも影響を及ぼします。
血管の内側にある内皮細胞は、一酸化窒素（NO）を産生し、血管をしなやかに拡張させることで血圧が上がるのを防いでいます。エストロゲンはこの血管内皮細胞のNOの産生を促します。閉経期になってエストロゲンの合成が減少すると血管内皮細胞のNO産生が低下するため、血管の拡張が低下、血圧が高くなってしまうのです。
また、エストロゲンには悪玉コレステロールのLDLコレステロールを抑え、善玉コレステロールのHDLコレステロールを増やす働きもあります。そのため、閉経によってエストロゲンが減少すると脂質異常症を引き起こしやすくなり、また、閉経後に肥満やメタボリック症候群になる場合が多いことから、動脈硬化が進んで、さらに高血圧のリスクが高まります。
更年期以降の高血圧には、自律神経の乱れも影響しています。エストロゲンの分泌は脳の視床下部で調節されています。更年期になりエストロゲン分泌が急激に低下すると、視床下部は混乱します。すると、同じく視床下部にある自律神経の調節も不安定に。加えて、更年期を迎える年代は、親の介護や子どもの受験・就職、職場での変化などライフステージの変化が起こりやすく、精神的ストレスが増える時期。その結果、自律神経が乱れて副交感神経より交感神経が優位となり、絶えず血管が収縮した状態は高血圧につながります。

「更年期高血圧」を予防するには？

高血圧は約90％は原因のはっきりしない「本態性高血圧」で、残りの約10％が腎臓やほかのホルモンの異常が原因で起こる「二次性高血圧」です。二次性高血圧は原因を取り除けば高血圧が治る可能性があります。本態性高血圧の場合は、生活習慣を改善することが基本です。まずは肥満や脂質異常症などのリスク因子や臓器障害、心血管病、糖尿病、慢性腎臓病などの合併症がないかどうかを医療機関で調べてもらいましょう。それらをクリアしたら、下記の「生活習慣改善の6カ条」に取り組みます。
これらを守っても血圧が下がらなければ、降圧薬を飲むなどの治療をする必要があります。特に家族（親や兄弟姉妹）に高血圧の人がいる場合や、妊娠時に血圧が高かった人、運動不足などで肥満気味の人は高血圧になりやすいので注意しましょう。

家庭に４つのはかりを備えましょう

生活習慣を改善するには、自分の体の状態を数値化して客観的に見ることが有効です。①〜③なら家にあるという方は多いでしょうが、ぜひ④の家庭血圧計（上腕に帯を巻いて測るタイプのもの）も加えてください。日々の血圧値を知っておくことは高血圧予防にとってとても大切です。また、医師の診察を受ける時にその記録を示せば、より正確な診断にも役立ちます。

体の中から整えるセルフメンテナンスのススメ

「なんだか気分が重い」「疲れやすくなった……」
なんとなく調子が出ない、そんな時は自分の体の状態を客観視することからはじめてみましょう。
阪急阪神沿線のお店の力も借りて、食事や生活習慣を見直し、ヘルシーな毎日を！

神戸岩茶荘【兵庫・神戸市】

漢方食材を使ったお粥（かゆ）で体の中からポカポカに

高級中国茶である「武夷正岩茶（ぶいせいがんちゃ）」の専門店。約50種の茶葉を陰陽五行の五色（青・赤・黄・白・黒）に分類して販売している。店内でいただける薬膳粥は、帆立のダシをベースに棗（なつめ）やクコ、金針菜（きんしんさい）などの漢方食材を使ったもので、免疫力の低下や顔・足のむくみが気になる人におすすめ。ショウガやネギも入っているので、食べ終わる頃には体が温まっているのを実感できる。また、オーナーは中医学に基づいて研究を行い、目をみて体の不調などを見分ける「眼心」（要予約）を考案。鑑定結果から体質に合ったお茶を選んでくれるので、ぜひ一度お試しを。

「楊紀おばさんのカラダに優しい薬膳粥」1,210円
（茶玉子・サラダ・岩茶・デザート付き）
※なくなり次第提供終了｡

神戸みなと温泉 蓮【兵庫・神戸市】

街中の天然温泉でかなえる都市型の湯治スタイル

神戸港の地下1,150ｍから湧き出る海洋性ミネラルを含んだ天然温泉が自慢の温泉旅館は、日帰り利用OK。さらに、京阪神で初めて厚生労働省が認定した温泉利用型健康増進施設である同館では、専門医監修のメニューに沿って資格を持つスタッフが温泉入浴指導や日常生活の注意点などをアドバイスしてくれるプログラムも実施中（要予約）。体のバランスを可視化してくれる「InBody測定」も合わせて受けておきたい。

「InBody測定」550円★
体水分、タンパク質、ミネラル、体脂肪を定量的に分析し、
人体成分の過不足を評価する検査。

ニホンドウ漢方ブティック 梅田阪神店【大阪・梅田】

「一に養生、二に漢方」漢方のチカラで日常を豊かに

阪神梅田本店内にある漢方専門店では、健康的なライフスタイルを維持する「養生」の考え方を提案。薬剤師・登録販売者の資格を有するスタッフが、丁寧にカウンセリング（要予約）したうえで漢方薬を選定してくれるのはもちろん、生活改善のアドバイスも受けられる。日々の悩みごとを相談するうちに、体の不調だけではなく、心まで軽くなったという人も多いのだそう。お茶やオリジナルコスメなど、気軽に和漢の力を取り入れられるアイテムもあるので、ショッピングがてら足を運んでみてはいかが？

【漢方相談の流れ】
要予約・相談料無料　※1回30〜90分。漢方薬、製品代は別途要。
＜STEP1　カウンセリング＞
専門スタッフが気になる悩みや体質についてヒアリング。
＜STEP2　舌チェック＞
舌を見て漢方の考えによる体調の傾向を推測。
＜STEP3　薬の選定＞
約200種の漢方薬から、1人ひとりに合うものを選定し、飲み方などもきちんと説明。

※血圧・血流のセルフチェックもできます
血圧や血流を専用の機械で測定。日頃の健康チェックに役立てて。

LA SANTÉ 南口本店【兵庫・宝塚市】

素材の味を最大限に引き出したコールドプレスジュース

1本あたり約1〜1.5kgもの果物や野菜を、専用のスロージューサーを使い、時間をかけて水分を抽出したジュース。熱によって壊れやすいビタミンなどの栄養を効率的にとり入れることができる。レギュラーのほか、季節限定のものを含め常時14種類以上をラインアップ。店頭ではそれぞれに使われている果物や野菜の成分なども詳しく紹介されているので、不足しがちな栄養や好みに合わせて自由にセレクトを。

【写真左】「コールドプレスジュースダークレッド」
（400g）1,188円
カリウムや鉄分を豊富に含むスーパーフード「ビーツ」とリンゴなどをミックス。むくみが気になる人はチェック！

【写真右】「コールドプレスジュースピーターオレンジ」
（400g）1,188円
βカロテンたっぷりのニンジンに、ビタミンCを含むキウイなどをプラス。すこやかな肌を目指す人に。

＼Check!／　女性の健康推進室「ヘルスケアラボ」

すべての女性の健康を支援することを目的に、厚生労働省の研究班が監修するホームページ。体調に不安がある際のセルフチェックツールや、ライフステージ別の女性の健康ガイドなど役立つ情報が満載なのでブックマークしておこう。

URL　　https://w-health.jp/

Well TOKK vol.28 2023年1月10日発行時の情報です。

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