特集「夏に負けない カラダ想いの食材選び」
新しい生活スタイルの日常化によって、健康や家庭での食事に対する意識を見直した人も多いのでは?今号の特集では、へルシーなグルメを提供するお店の方に、体に優しい食材について教えていただきました。
暑さで食欲や体力が低下しがちなこの季節、食生活を見直し、元気に過ごしましょう!
オーガニック野菜
野菜が本来持っている力を生かした方法で栽培。人にも環境にも優しい野菜を選んでみよう。
「オーガニック」って何?
「有機の」という意味で、一般的に農薬や化学肥料を使わず有機肥料によって生産された農産物のこと。「オーガニック」と「有機」は同じ意味で使われる。日本では、食品に関しては農林水産省が基準を設けており、「有機JASマーク」が付いたものが国が認めた証。
(主なものを抜粋)
- 禁止された化学肥料および農薬を使用していない
- 遺伝子組換え技術を利用していない
- 種まきまたは植え付け前の2年以上の間、畑の土に禁止された化学肥料および農薬を使用していない
調理のコツ
ゴシゴシ洗わない
皮が薄くて柔らかいので、布巾やタオルなどで優しく撫でるようなイメージで洗う。タワシやスポンジはNG。
皮をむかない
皮や根にも栄養があり、オーガニックであれば安心して食べられるので、取り除かずにまるごと使う。
弱火でゆっくりと火を入れることで、灰汁がうま味に変わる。
※タケノコ、山菜など例外あり。
シンプルな味付けに
野菜本来の味が濃いので、少量の塩や味噌、しょうゆなどで素材のうま味が引き立つ。
夏におすすめの食べ方
【夏野菜のラタトゥイユ】
トマト、ナス、パプリカ、ズッキーニなどの夏野菜とタマネギを、野菜の水分だけで煮る。味付けは、一つまみの塩に少量の味噌と塩麹を加えてシンプルに。野菜のうま味と栄養たっぷりで、作り置きにもおすすめ。
【Seren-table】岡谷英子さん
食生活を整えることによって、長年悩まされていた体調不良が改善して精神的にも安定した経験から、自身のお店をオープン。マクロビオティック、ビーガン、オーガニックにこだわったメニューを手作りし、料理教室も開催している。
「インテリアに天然素材を多用した、ナチュラルな雰囲気のお店です。時間がある時に来ていただいて、食事にしっかり向き合ってゆっくり過ごしていただきたいです。」 (岡谷さん)
心がほっと落ち着く空間で、体にうれしいメニューが味わえる自然派カフェ。「Farm to table」の気持ちを大切に、厳選した旬の食材を季節の変化に応じた調理法で提供している。栄養バランスを考えた彩り豊かな日替わりメニューが好評。
- 時間
- 11:00~17:00(土・日曜・祝日は11:30~、LO16:30)
- 定休日
- 金曜休
- 問い合わせ
- 072・669・8607
- アクセス
- 阪急高槻市駅下車 徒歩約17分
- URL
- http://cooklab-serendipity.com/
薬膳
食欲が落ちたり、水分を取りすぎたり…。食生活が乱れて不調になりやすい夏こそ、「薬膳」の知恵を取り入れてみよう。
「薬膳」って何?
体質や体調、季節や気候などによって食材の選び方や食べ方を変え、食事で健康を維持する方法のこと。実はすべての食材には効能があり、日常の食事も「薬膳」と言える。普段から自分の体を意識して日々の変化を逃さず、食材と調理法を上手に選ぼう。
代表的な食材と特徴
a. ショウガ
体を温める作用があり、発汗を促進。生のショウガは、すりおろして冷ややっこやうどんの薬味として取り入れて。加熱や乾燥させたものは乾姜(かんきょう)と言い、体の深部を温める効果をもたらすので、冷え性の改善にも効果的。
b. ニンニク
数ある薬草や野菜の中でも、疲労回復効果が高いことで知られる。低下した胃の働きを高め、お腹の調子を整える作用があり、刻んだりすりつぶしたりして食べると効果がアップ。血行促進作用による冷え性の改善などにも、効果が期待できる。
c. シソ(大葉)
免疫力を高める作用があり、花粉症やアレルギー症状に有効。発汗を促し、冷えを取ってくれる効能があるほか、魚介類の食中毒予防にも有効。独特の爽やかな香りは、気(エネルギー)を巡らせ、体のリズムを整えるのにも◎。
d. 山芋
漢方では山薬(さんやく)と呼ばれ、元気を補う食材の一つとされる。疲れやすい、やる気が出ない、食欲がないなど、心身が弱っている時に取るのがおすすめ。頻尿など老化の症状にも有効とされる。
e. ナツメ
中国で古くから健康や美容に効果的な食材として、薬膳に多く用いられる。気と血を補い、胃腸の調子を整える作用や精神安定作用があるとされる。お粥や煮込み料理などに加えると取り入れやすい。
f. クコの実
杏仁豆腐のトッピングとしておなじみの、ゴジベリーとも呼ばれる人気のスーパーフード。中国では「不老長寿の実」と呼ばれ親しまれており、眼精疲労の回復や美肌などの効能があるとされる。
夏におすすめ「薬膳」
発汗で失われるエネルギーを補って巡らせることと、冷えやむくみの予防を意識することがポイント。
a.【エネルギー補給で疲労回復】
ビールのおつまみにもぴったりなソラマメは、体力増強や疲労回復に効果的。水分代謝を活発にする作用もあるので、だるさやむくみ解消も期待できる。山芋やオクラなどのネバネバ食材もパワーの宝庫なので、おすすめ。
b.【体を冷まして熱中症予防】
夏が旬のトマトやキュウリ、ナス、ゴーヤなどの野菜や豆腐、そば、緑茶は、体の熱を取ってくれるので、熱中症の予防に有効。ただし、体を冷やしすぎると逆効果なので、取りすぎには注意して。
c.【夏冷えにはスパイスを活用】
冷たいものの取りすぎは、胃腸の機能低下だけでなく水分代謝も悪化させてしまうので、エネルギーを巡らせて体を温めてくれるスパイスを上手に取り入れよう。カレーはターメリックやウコンなどのスパイスがたっぷり入っているので手軽で◎。
【巡りごはん いろは】鍋谷みちこさん
自身と実母の闘病時に東洋医学に出合い、漢方や薬膳について学ぶ。この世界をもっと多くの人に知ってもらいたいとの思いでお店を持ち、薬膳インストラクター、食養生コーディネーターとして活躍中。
「家具や照明など、落ち着いた空間作りを意識しています。体と心に優しい料理を味わっていただいて、ぜひ漢方や薬膳に興味を持っていただきたいですね。」(鍋谷さん)
野菜中心に旬の食材を使った料理をお膳スタイルで提供する、薬膳お粥カフェ。お粥は、ナツメとショウガからだしを取った基本のものと、月替わりの2種類。薬膳をおいしく身近に味わえる隠れ家的なお店として人気。
- 時間
- 11:00~15:00(LO14:00)
- 定休日
- 不定休
- 問い合わせ
- 072・648・5950
- アクセス
- 阪急茨木市駅下車 徒歩約14分
- URL
- https://iroha-michi.com/
発酵食品
栄養価が高く、日本人には比較的なじみの深い「発酵食品」。食べ方次第で健康効果が変わるので、ポイントを押さえて、毎日取り入れる習慣をつけよう。
発酵食品って何?
微生物(菌)がタンパク質や糖質を分解することにより生成される食品のこと。発酵させることで栄養成分が増えると共に、食材本来の味に独特の風味や香りが加わってうま味がアップし、保存性が高まる。また、発酵食品を取ることで、腸内の善玉菌を活発にしてバランスを整えてくれる整腸作用が期待できる。さらに、食品によって異なるが、免疫力向上や抗アレルギー、美肌のほか、生活習慣病の予防など、様々な効果があるとされる。
発酵を促す微生物(菌)は大きく分けて、乳酸菌や納豆菌などの「菌」、麹をはじめとする「カビ」、ビールやパンに使われる「酵母」の3種類。食材によって発酵のスタイルが異なり、数えきれないほどの種類がある。
調味料▶︎ しょうゆ、味噌、みりん、酢 など
食べ物▶︎ 納豆、ヨーグルト、チーズ、キムチ、漬物、パン など
飲み物▶︎ 甘酒、日本酒、ワイン、ビール 、焼酎 など
効率的な食べ方
①毎日続けて食べる
菌が腸内で活動できるのは3~4日とされているため、毎日習慣的に食べることが重要。調味料にしょうゆや味噌、酢を活用する、朝食メニューにヨーグルトやチーズを定番化するなど意識して取り入れよう。
②なるベく加熱調理しない
菌は熱に弱く、微生物の多くは40℃以上の加熱で死滅するため、発酵食品は加熱調理せずに食べるのが効果的。ただし、納豆菌は100℃の熱にも耐えられるので、加熱しても生きたまま腸に届く。
③複数の発酵食品を組み合わせる
様々な菌を体に取り入れるには、種類の異なる発酵食品を組み合わせて食べるのがおすすめ。ただし、味噌や漬物、キムチなどの塩分の高い食品は合わせる食材を工夫し、一食で重ねて取らないように注意が必要。
a. 納豆×キムチ
納豆菌がキムチの乳酸菌の増殖を促進し、腸内の乳酸菌が増加。
b. ヨーグルト×甘酒
乳酸菌と食物繊維、オリゴ糖の相乗効果で大腸の働きが良くなり、便秘の改善に。
c. クリームチーズ×味噌
動物性のチーズと植物性の味噌は相性が良く、うま味の相乗効果が。味噌には老化防止効果も。
おすすめ簡単レシピ
砂糖の代わりに甘酒を使った、朝食にもぴったりなメニューをご紹介。
【甘酒パンケーキ】
<材料(4枚分/直径約8cm)>
米粉(または小麦粉) … 100g
卵 … 2個
ベーキングパウダー … 4g
甘酒 … 150g
<作り方>
❶すべての材料をボウルに入れて混ぜ合わせる。
❷熱したフライパンに油をひき、生地を入れて弱火~中火で焼く。
❸ポツポツと穴が出来てきたら裏返し、両面がきつね色になるくらいまで焼けたら出来上がり。お好みでリンゴの甘酒コンポートをトッピングして。
【リンゴの甘酒コンポート】
<材料>
リンゴ … 1個
甘酒 … 大さじ4
<作り方>
❶皮をむき角切りにしたリンゴと甘酒を耐熱皿に入れ、ふんわりとラップをして電子レンジで約4分加熱する。
❷軽く混ぜてから、もう一度電子レンジで約4分加熱したら出来上がり。
【漬×麹 Haccomachi】店長 甲斐 彩さん
複数の飲食店で調理とサービス両方の経験を積み、同店のオープンに伴い店長に就任。発酵食品の新しい味わい方などを自ら考案し、メニューとして展開。お客様と発酵食品との出会いの場を提供している。
「秋田県の発酵調味料『しょっつる』と自家製甘酒を隠し味にしたカレーや甘酒のスムージー、『千鳥酢』にパインなど旬のフルーツを漬け込んだドリンクが夏のおすすめです。」(甲斐さん)
「発酵に出会う、発酵を楽しむ」をテーマに、様々な発酵食品を取り入れたカフェ。日々店内で作る米麹甘酒をはじめ、京都ブランドのしょうゆや納豆に加えて発酵食品で野菜や肉、魚などを漬け込んだ多彩なメニューがそろう。
- 時間
- 11:00〜15:00、17:00〜21:00(土・日曜・祝日は11:00〜21:00)(ランチLO14:30、フードLO20:00、ドリンクLO20:30)
- 定休日
- 水曜休(祝日の場合は営業、翌日休)
- 問い合わせ
- 075・256・8883
- アクセス
- 阪急烏丸駅下車 徒歩約7分
- URL
- https://haccomachi.jp/
Well TOKK vol.18 2020年7月28日発行時の情報です。
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