特集「知って楽しむ 歴史の足跡めぐり」

暑さが和らぎ、秋が深まっていくこの時期。季節の移ろいを、時の流れに重ねるように、阪急阪神沿線の歴史スポットへ足を運んでみよう。今回は、各スポットの特におすすめの撮影ポイントや、スマートフォンで上手に写真を撮るテクニックをご紹介。
ぜひ参考にして、お気に入りの1枚を撮影して。

古墳

全国的にも珍しくて貴重!多量の鉄製武器が出土した前方後円墳
恵解山いげのやま古墳公園】

2014年に整備され、公園としてオープン。リアリティーを追求した約650点の埴輪を並べ、斜面の一部には葺石(ふきいし)を敷き詰めるなど、古墳が造られた5世紀前半頃の姿を復元。鉄製の剣や刀など約700点もの武器が多く出土したことと、その規模や構造などから、桂川右岸の乙訓地域を支配していた首長の墓と考えられている。古墳は国指定史跡で、出土品は京都府指定有形文化財に指定されている。

古墳を囲む周濠(しゅうごう)は、芝生広場として整備。
南西から後円部の墳丘全体が入るように撮影すると、スケール感のある1枚に。
手前の芝生と空をバランスよく入れるのがポイント。

a. 整然と並ぶ円筒形の埴輪の中でひと際目を引くのが、貴人に差し掛ける日傘をかたどった「蓋形(きぬがさがた)埴輪」。傘の上部の羽のような飾りが印象的。
b. 桂川右岸の標高約16メートルの台地の縁に造られた、乙訓地域最大の前方後円墳。3段になった古墳の全長は約128メートルで、周囲の濠(ほり)を含めると約180メートルに達する。

恵解山いげのやま古墳公園 <阪急京都線>
入園自由
問い合わせ
075・954・3557(長岡京市教育委員会生涯学習課/12月29日〜1月3日は休)
アクセス
阪急西山天王山駅下車 徒歩約15分
住所
京都府長岡京市勝竜寺30【Google Map】>
URL
http://www.city.nagaokakyo.lg.jp/vod/0000004495.html

埴輪の数も桁違い!大王墓を散策できる日本唯一の古墳公園
【いましろ 大王だいおうもり今城塚いましろづか古墳公園)】

淀川流域最大級の前方後円墳を中心に整備された、阪神甲子園球場約2つ分の緑豊かな公園。今城塚古墳は学術的には聖徳太子の曾祖父にあたる継体天皇の墓とされ、大王墓を自由に歩き回れるのは国内でここだけ。内堤には約6,000点の円筒埴輪、埴輪祭祀場には家・馬・力士など、200点以上の埴輪がずらりと並ぶ。これら実物大の復元埴輪に触れることができるのも、この公園ならでは。希少な遺跡でありながら、歴史を身近に感じることができる。

大王のハニワ祭を再現した「埴輪祭祀場」。
埴輪と一緒に撮影すれば、タイムスリップしたようなユニークな写真に。

a. 史跡公園の中央にある墳丘は、うっそうと木々が生い茂り、まるで森のよう。
b. 6世紀前半に造られた今城塚古墳は、墳丘だけで全長181メートル、周囲の二重の濠を合わせると総長約350メートルもの規模を誇る。

いましろ 大王だいおうもり今城塚いましろづか古墳公園) <阪急京都線>
入園自由
問い合わせ
072・682・0820(高槻市立今城塚古代歴史館/10:00〜17:00、月曜休〈祝日の場合は開館、翌平日休。12月28日〜1月3日は休〉)
アクセス
阪急富田駅下車 徒歩約30分、または阪急富田駅下車 徒歩約6分のJR富田駅停より市バスのりかえ今城塚古墳前停下車 徒歩約4分
住所
大阪府高槻市郡家新町48-8【Google Map】>
URL
http://www.city.takatsuki.osaka.jp/rekishi_kanko/rekishi/rekishikan/daio/1327400070525.html

城・城跡

歴史と文化の香り漂う、美しい日本庭園のある公園
【池田城跡公園】

室町から戦国時代にかけて、池田市域一帯を支配していた豪族・池田氏の居城跡地を公園として整備。五月山を背に回遊式の日本庭園から望む、やぐら台が美しく空に映える。園内には、大手門や瓦葺きの茶室、井戸跡や礎石跡などの遺構を復元。歴史のエッセンスを感じながら、静かなひと時を過ごしてみては。

手前に日本庭園と池、遠景にやぐら台(展望休憩舎)を入れてパチリ。
建物から離れて撮ることで、奥行きのある写真に。

a. やぐら台からは、市街地を一望できる。池田氏の栄華を偲びつつ、眺望を楽しもう。
b. 公園への入り口の一つ東門(大手門)。木橋を渡って門をくぐれば、眼前に日本庭園が広がる。

池田城跡公園 <阪急宝塚線>
入園無料
時間
9:00~17:00(10月は~19:00)
定休日
火曜休(祝日の場合は開園、翌日休。12月29日〜1月1日は休)
問い合わせ
072・753・2767
アクセス
阪急池田駅下車 徒歩約15分
住所
大阪府池田市城山町3-19【Google Map】>
URL
https://ikedashiroato.wixsite.com/ikedacastle

約400年の時を超えて歴史を伝える、日本が誇る世界遺産
元離宮もとりきゅう二条城】

1603年に江戸幕府の初代将軍・徳川家康が、京都御所の守護と上洛の際の宿泊所として築城。3代将軍家光が後水尾天皇の行幸に伴い大改修し、「二の丸御殿」や唐門などが加えられた。中でも、池に滝や岩石を配した「二の丸庭園」の美しさは格別で、国の特別名勝に指定されている。「二の丸御殿」の大広間は、最後の将軍となった15代将軍慶喜が、大政奉還の意思を表明したことで知られる。

江戸時代初期の書院造を知る重要な遺構でもある「二の丸御殿」。国内の城郭に残る唯一の御殿群として国宝に指定されている。

a. 二の丸御殿の北にある、和洋折衷の庭園「清流園」。池の向こうには、豪商・角倉了以の旧屋敷から移築した「香雲亭」があり、撮影スポットとしておすすめ。
b. 二の丸御殿に残る約3,600面の障壁画の中で最も有名な、大広間四の間障壁画「松鷹図」。

元離宮もとりきゅう二条城 <阪急京都線>
料金
大人1,030円、中高生350円、小学生200円(二の丸御殿観覧料含む)
時間
8:45~17:00(二の丸御殿は〜16:10。入城は〜16:00)
定休日
12月29~31日は休(二の丸御殿は12月の火曜と26~28日、1月1〜3日は休)
問い合わせ
075・841・0096
アクセス
阪急大宮駅下車 徒歩約17分
住所
京都府京都市中京区二条城町541【Google Map】>
URL
https://nijo-jocastle.city.kyoto.lg.jp/

寺社仏閣

古来より“萩の寺”として親しまれる、関西屈指の萩の名所
東光院とうこういん 萩の寺】

735年に行基が開創した由緒ある古刹(こさつ)。国指定重要文化財の「降魔座釈尊坐像」や、後醍醐天皇ゆかりの「こより十一面観世音菩薩立像」など多数のご本尊を祀っている。また、創建当時より、供養の花として行基が植えた萩の花を大切に育て続けていることでも知られ、毎年9月下旬〜10月上旬頃には境内の随所で約3,000株もの萩の花が開花する。この時期ならではの風情を楽しんで。

阪神・淡路大震災で全壊後、2000年に復興された「吉祥林・圓通殿」と呼ばれる本堂。やや斜め下から手前の緑越しにカメラを構えると、全体をとらえた雰囲気のある写真が撮れる。

a. 北大路魯山人が命名したという「萩露園」。秋には紅白やピンクなど色とりどりの萩の花が咲き誇る。
b. 写経した和紙のこよりで作った衣を着た「こより十一面観世音菩薩立像」。

正門入口の北向延命地蔵の隣にある「無事蛙」。旅先から無事カエル、若ガエルなど、縁起物として古くから愛されている。
東光院とうこういん 萩の寺 <阪急宝塚線>
料金
200円(萩の開花時期、イベント期間は500円)
時間
10:00~16:00
定休日
無休
問い合わせ
06・6852・3002
アクセス
阪急曽根駅下車 徒歩約4分
住所
大阪府豊中市南桜塚1丁目12-7【Google Map】>
URL
https://www.haginotera.or.jp/

宝くじ発祥の地としても知られる、日本四弁財天の一つ
【箕面山 瀧安寺りゅうあんじ

1,400年近く前に開基し、全国から修験者が集まる道場として発展。本尊の弁財天は、日本四弁財天の一つに数えられ、日本最初にして最古であると伝えられている。宝くじ発祥の地としても有名で、弁財天は「西国七福神」の一尊にも名を連ねる。山が色づく紅葉の季節には、弁天堂へ向かう参道沿いの木も赤く染まり、まるでモミジのトンネルのよう!

江戸時代初期に建てられた、本堂「弁天堂」。手前の灯篭を両サイドに少し入れて、真正面から撮れば、重厚な趣と安定感のある写真に。

a. 滝道の観光スポット、箕面川にかかる朱色の太鼓橋「瑞雲橋」。自然と調和した風景は、写真に残しておきたい美しさ。
b. 1809年に京都御所より移築された、総﨔(けやき)造りの「山門」。荘厳な雰囲気の門の中に奥の建物を収めれば、印象的な写真に。

箕面山 瀧安寺りゅうあんじ <阪急箕面線>
料金
無料
時間
9:00~16:00
定休日
無休
問い合わせ
072・721・3003
アクセス
阪急箕面駅下車 徒歩約15分
住所
大阪府箕面市箕面公園2-23【Google Map】>
URL
https://www.ryuanji.org/

熊野三山の神々を主祭神とする、阪神間有数のパワースポット
弓弦羽ゆづるは神社】

849年より、弓弦羽の森に鎮座する神社。根本熊野三所大神を祀り、日本神話で神武天皇を熊野から大和へ道案内したとされる「八咫烏(やたがらす)」がシンボル。厄除開運や家内安全、諸願成就、勝利祈願などにご利益があるとされる。ほかにも、御影石のサッカーボールにも注目を。日本サッカー協会のシンボルマークが八咫烏であるという縁で作られたもので、選手やファンが多く訪れるのだそう。

約90年前に建てられた木造の拝殿は、神戸市内最大級。真正面から撮影した写真からは、荘厳な雰囲気が伝わる。斜め左側から手前の狛犬の石像が入るように拝殿を仰いで撮ると、建物の立体感が出て動きのある絵に。

a.力試しや力比べに用いられた「力石」。持ち上げた人の氏名と重量が刻まれているので、チェックしてみて。
b. 神戸市天然記念物に指定されている樹齢約370年の椋の木。“努力がむくわれる”“想いがむくわれる”象徴として、手を添えて祈願する人が多いのだそう。

弓弦羽ゆづるは神社 <阪急神戸線>
参拝自由
問い合わせ
078・851・2800
アクセス
阪急御影駅下車 徒歩約5分
住所
兵庫県神戸市東灘区御影郡家2丁目9-27【Google Map】>
URL
https://yuzuruha-jinja.jp/

カラフルな願掛けで話題の、由緒正しい日本最古の庚申堂
【八坂庚申堂こうしんどう

青面金剛(しょうめんこんごう)をご本尊として、960年に建立された日本三庚申の一つ。正式名称は「大黒山 金剛寺 庚申堂」で、中国の道教由来である庚申信仰を日本で初めて行ったとされる。境内で存在感を放つのは、「くくり猿」。手足をくくりつけられたお手玉のような丸い形のサルに、願いごとを書いて祈願し、絵馬のように奉納したもの。この色とりどりのサルが連なる光景は、参拝者に人気の撮影スポットになっている。

願いごとを書いて吊るすと、願いがかなうと言われている「くくり猿」。
この場所で人物を入れて撮影する場合は、背景一面がくくり猿になるようにすれば、色鮮やかでかわいい写真に。

a.病名を書いた紙人形をコンニャクに貼って奉書紙に包み天井に吊るすと、コンニャクから水気が抜けるように病が抜けると言われる「コンニャク祈祷」。
b. 寺名の「申」は「猿」という意味。サルは庚申信仰で本尊の使いとされていることから、「見ざる、言わざる、聞かざる」の三猿が、境内のいたるところで見られる。

八坂庚申堂こうしんどう <阪急京都線>
料金
無料
時間
9:00~17:00
定休日
無休
問い合わせ
075・541・2565
アクセス
阪急京都河原町駅下車 徒歩約17分
住所
京都府京都市東山区金園町390【Google Map】>
URL
http://www.yasakakousinndou.sakura.ne.jp/

スマートフォンで上手に撮影するテクニック

※設定の仕方は機種によって異なります。また、これらの機能がない機種もあります。

【光の方向】 撮影前に光の方向をチェックして影が手前に出ないよう注意!

「逆光」の状態では、影が手前に出て被写体に重なってしまうのでNG。被写体の正面から光が差す位置(順光)で撮影すると、色や形をはっきりと表現できる。人物を撮影する場合、「逆光」だと顔が暗く写ってしまうので、順光で撮影しよう。

【ピント】 自動ピント調整機能を上手に利用すれば写真の撮り方や印象を変えられる!

スマートフォン内蔵のカメラは、基本的にピント調整が自動で設定される。被写体から少し離れて撮ると、写真全体にピントが合い、かっちりとした印象に。被写体に近づくと一点にピントが合い、周辺がぼやけて被写体がくっきり際立った写真が撮れる。

【構図】 グリッド線を活用した三分割法でプロのような構図の写真に!

スマートフォン内臓のカメラでは、「グリッド線」という画面を三分割するガイド線を表示させることが可能。このグリッド線によって、水平や垂直がわかりやすくなるので活用を。また、対象物を画面の3分の1の範囲に収めることで、バランスの良い構図の写真が撮れる。

【アングル】 同じ場所・物の撮影でもアングル次第で異なる表現が可能に!

同じ物を撮影しても、アングルを変えると印象が大きく変わる。下から見上げる「ローアングル」だと、被写体にインパクトが出てダイナミックな写真に。上から見下ろす「ハイアングル」にすると、背景が写し出されて世界観のある表現に。「これだ!」と思う角度を探してみよう!

Well TOKK vol.19 2020年10月2日発行時の情報です。

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