夏の夜の快適習慣 ― 寝苦しい季節のための、睡眠前マインドフルネス
夏の夜。
一日を終えて疲れているはずなのに、なぜか目が冴えて眠れない。
そんな経験はありませんか。
実はこの寝苦しさは、気温や湿度だけが原因ではありません。
夜を迎えてもなお、脳や体が「まだ休む準備ができていない状態」でいることが、大きく関係しています。
本コラムでは、なぜ夏は眠りの質が下がりやすいのか、そして、どうすれば睡眠の質を高めることができるのかを、体と脳の仕組みを交えながら、分かりやすく紹介していきます。
1.なぜ夏は眠りの質が下がりやすいのか
私たちは眠りに入る前、体の内側の温度(深部体温)をゆるやかに下げながら、副交感神経を優位にし、体と脳を少しずつ「休息モード」へと切り替えています。
しかし夏は、この切り替えを妨げる要因が重なりやすいです。
① 体温が下がりにくく、脳が休息モードに入りづらい
眠りに入るためには、深部体温が自然に低下することが重要です。
この体温の低下が、脳に「休息の時間に入った」というサインを送ります。
ところが夏の夜は、日中の暑さによって体に熱がこもりやすく、深部体温が下がりにくくなります。

② 室内外の温度差によって、自律神経が乱れやすい
もう一つの大きな理由が、暑さと冷房による急激な温度変化です。
冷房の効いた室内と暑い屋外を行き来すると、体温を調整する役割を担う自律神経には、大きな負担がかかります。
その結果、活動モードの「交感神経」と、休息モードの「副交感神経」の切り替えがうまくいかず、夜になっても交感神経が優位な状態が残りやすくなります。

2.夏の夜におすすめしたい、エアコンとの上手な付き合い方
夏の時期に自律神経を乱さず、眠りの質を保つためには、エアコンを上手に使うことが大切です。
日中のエアコンについて
一般的に、室内と屋外の温度差が大きくなりすぎると、自律神経への負担が増えるとされています。
ひとつの目安としては、外気温との差を5℃以内に抑えること。
日中の冷房設定は、外気温にもよりますが25〜28℃程度が比較的無理のない範囲とされています。
(24℃以下では冷えやすく、29℃以上では暑さによる不快感が強くなる場合があります)

就寝時のエアコンについて
「寝ている間はエアコンを消した方がよい」と思われがちですが、暑さで目が覚めてしまう場合は、無理に切る必要はありません。
就寝中は体温調節機能の反応が日中より鈍化するため、冷えすぎず、暑すぎない環境を保つことが重要です。
以下のような方法がおすすめです。
・設定温度を28℃前後にして、朝までつけたままにする
・就寝時は26℃前後にし、1〜2時間で切れるようタイマーを設定する
・風が直接体に当たらないよう、風向きを調整する
エアコンの使い方に「正解」はありません。
いくつか試しながら、自分にとって最も心地よく眠れる方法を見つけてみてください。
3.眠る前のマインドフルネス瞑想が睡眠の質を高める
近年、マインドフルネス瞑想が睡眠の質の改善に役立つ可能性があることが、さまざまな研究で報告されています。
Upmindと東京大学の共同研究においても、毎日5〜10分間のマインドフルネス瞑想を約2か月間継続した結果、不眠の程度が改善し、より安定した深い睡眠を得られる傾向が確認されました。

眠る前にマインドフルネス瞑想を習慣として取り入れることは、大変おすすめです。
今回、マインドフルネス瞑想の中でも、なかなか寝つけない夜に役立つ「セルフコンパッション瞑想」をご紹介します。
セルフコンパッション瞑想とは
セルフコンパッションとは、自分に対して思いやりを向ける心のあり方のこと。
例えば、「うまく眠れない自分」を責めるのではなく、今の状態をそのまま受け止め、ねぎらい、やさしく整えていく姿勢を大切にします。
眠る前にこの感覚を育てることで、心と体の緊張がゆるみ、自然と眠りに入りやすくなります。

■やり方
① 体に優しく触れて安心感をつくる
椅子に座る、またはベッドに横になり、胸やお腹にそっと手を当ててみましょう。
手のぬくもりや、呼吸に合わせてお腹が上下する感覚に、静かに意識を向けていきます。

② 自分にやさしい言葉をかける
心の中で、ゆっくりと次のような言葉を繰り返します。
●私が幸せでありますように
●私が安全でありますように
●私が健康でありますように
言葉は、そのとき自分にしっくりくる表現で構いません。
③ 呼吸とともに、力を手放す
吐く息とともに、肩や背中、顔の力がふっと抜けていくイメージを持ちます。

はじめての方は、音声ガイドと一緒に行うと、より実践しやすくなります。
▼「思いやりの瞑想~思いやりを育み、自己肯定感を高める~」
https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/exercise/mindfulness/
4.最後に
眠ろうと頑張るほど、かえって眠りから遠ざかってしまうこともあります。
そんなときこそ大切なのは、無理に眠ろうとすることではなく、その日の自分をねぎらい、休息の方向へそっと導いてあげることかもしれません。
“大切な人にかけるような言葉を、自分自身にも向けてあげてください。”
ブレネー・ブラウン(研究者・作家)
今この瞬間、自分を大切にする時間をつくること。
今日という日を「ここまでよくやった」と受け止めながら、時にはやさしい言葉を自分に向けてみてくださいね。
その小さな思いやりが、夏の夜を、少し穏やかなものにしてくれるかもしれません。
記事の監修元:Upmindについて
東京大学発。主に175万ダウンロード超の国内最大のマインドフルネスアプリUpmindを開発。マインドフルネスが「科学的に効果が実証されている健康習慣」として広く認知され、日常生活に根づくように研究・普及活動を行っています。また、自律神経を整えるためのセルフケア習慣を、科学的エビデンスに基づいて発信しています。
アプリでは、この記事でご紹介したような簡単な習慣をはじめ、日常の中で自律神経の切り替えをサポートする多くのプログラムを体験いただけます。興味のある方は、ぜひお試しください。
App Store (iOS):https://apps.apple.com/jp/app/id1565658134
Google Play (Android):https://play.google.com/store/apps/details?id=com.upmind



