卵子の数を知って、自分らしいライフ・キャリアデザインを!

気軽に卵子の数を測ることができる卵子数検査キット「EggU(エッグ)」。少量の血液で、卵胞から分泌されるホルモンであるAMH(抗ミュラー管ホルモン)濃度を計測し、卵子の数を測ります。「EggU」は、キャリアを頑張りたい女性たちが、早期に自分の体の状態を知ることで、人生をより豊かにして欲しいという願いから開発されたキットです。開発者である株式会社 BeLiebe 代表取締役社長の志賀遥菜さんにお話を伺いました。

EggUを開発されたきっかけについてお聞かせください。

大学卒業後に大学院に進み、25歳で外資系企業に入社しました。3年目で仕事がある程度こなせるようになり、もっと頑張りたいと思っている時に、海外勤務という選択肢がありました。海外勤務となると期間は約3~5年。帰国後に結婚というライフプランを組み込んでみると、出産が35歳を超えてしまう…。そこで初めて、高齢出産を自分ごととして認識し、キャリアと出産適齢期が重なることを痛感した瞬間でした。

その頃、起業にも興味があったので、母校の大学のアクセラレーションプログラムにオンラインで参加をしていました。そこで、まだメジャーではなかった“フェムテック”という言葉に出会うことに。プログラムではグループに分かれて進捗共有をするのですが、グループのメンバーの奥様で、産婦人科医をされている方とお話しする機会があり、AMHの存在を知りました。そこから、自分でも卵子の数を測ってみたいと思い、商品を探したところ、アメリカで販売されているものを見つけました。しかし、血液検査キットということもあり、アメリカ国内でも特定の地域限定販売で、購入はできませんでした。日本で展開するのを待つか、自分で販売代行をするかなど考えましたが、時間がかかりそう…。それなら、自分で作ろう!と。血液から卵子の数を測るという技術自体は新しいものではないので、実は日本にも似たような商品があったことに後から気づいたのですが、妊活をしているユーザー向けにマーケティングされているからか、見つけられませんでした。

EggUは妊活のためのキットではありません。みんなが妊活するわけではないし、子どもが欲しいかどうか、わからない人もいるはずです。私もわかりませんでした。最初は、いつかは子どもが欲しいけど今はキャリアに没頭したい、でも自分がいつまで妊娠できるかわからない、今の自分の体の状態を把握できるものはないかと自分の欲しいものを作り始めたつもりでしたが、同年代で同じようなキャリア志向で過ごしてきた友人に聞いてみると、みんな同じことで悩んでいることがわかりました。キャリアとライフの両立に悩んでいる女性たちが、妊活よりももっと前段階で利用できるようになれば、いろいろな人に自分のライフ・キャリアを考えるきっかけを提供できると思っています。

「卵子の数」を知ることで、どのように活用できるのでしょうか?

キャリアアップをしたいけれど、いつかは子どもが欲しいと思っている人はたくさんいます。ほとんどの人は、自分の体のことを何も知らないまま、キャリアやライフについて、いろいろな選択をしているのが現状です。

私はそこに対してメッセージを送りたいと思っています。自分の体の状況を知ることで、後悔のない選択ができると思うからです。例えば、卵子の数が多く、その他の妊娠率に関わる項目にも問題がなかった場合、キャリアを少し優先させて、プロジェクトや昇進を選択した後に妊活を考えるというライフプランを立てることが可能です。逆に、卵子の数が少なかった場合、本当に子どもが欲しいのかということを考え直し、子どもを授かりたい場合はライフを優先して、キャリアは出産後に再開する、というようにデザインできるのではないかと考えています。

女性の生き方が多様化しつつありますが、どのような方に活用していただきたいですか?

キャリアを頑張りたいと思っている20~30代がメインターゲットになると思っています。できれば20代前半から使用していただきたいですが、20代前半の方の多くは卵子の数を知るのはまだまだ先でいいと思っているようです。

日本は産婦人科に行く頻度がアメリカやヨーロッパに比べて低いです。海外だと16歳ぐらいから毎年検診を受けて、自分の体をチェックしたり、先生に相談したりする習慣があります。日本の産婦人科は若い方にとっては行きにくい場所というイメージがあり、検診に行く習慣もないので、自分の体のことを詳しく知る機会がありません。ですので、女性自身はもちろんですが、パートナーや両親など、周りの人がEggUをプレゼントすることができたら、届くべきところにも届くのではないかと思っています。自分の体の状況を早期に把握した上で、キャリアを考えることができると、ライフの選択肢も変わってくるはずです。子どもが欲しいと思うタイミングと、知っておくべきタイミングは違うので、早ければ早いほどいいと思っています。

キャリア女性と女性アスリートにEggUを届けるクラウドファンディングを実施されましたが、反響はいかがでしたか?

20時間で目標の50万円に届き、100%を達成しました。とても驚きましたが、それだけ求められているものだと感じました。驚いたのは、多くの男性が支援してくれたことです。全体の3割くらいを占めています。彼女や奥様にプレゼントするという方、第二子の妊活を考えている既婚者の方もいました。

嬉しかったのは、男性上司の方から、結婚を予定している仲の良い部下の男性にプレゼントしたいと言われたことです。最近では、男性もライフのことをしっかりと考えるようになってきていると感じています。デュアルキャリアカップル(二人とも自分の職業生活が人生に大切で、仕事を通じて成長したいと思うカップルのこと)も増えているので、女性が頑張りたいと思っていることをリスペクトして、応援してくれる男性も多いです。男性は、女性がいろんなチャレンジを抱えていることはなんとなく気づいていますが、実際に自分に何ができるかわからないという方が多いのではないでしょうか。目に見える形で支援できることがあれば、応援してくれるということをクラウドファンディングで実感しました。

プロジェクトの今後の展望についてお聞かせください。

検査キットはほぼ完成しているので、次のステップはサポートサービスの構築です。サポート体制ができた後に、一般ローンチを予定しています。

試作品で10人ほどに先行テストをしています。結果の後にどういう悩みが出てくるのかを知りたかったのですが、「この後、どうしたらいいの?」となってしまった人がほとんどでした。

結果を受けて、結婚しようと思う人もいれば、卵子凍結する人もいると思います。一人ひとりバックグラウンドやライフステージが違うので、結果に対する答えは無数にあります。パートナーがいる・いないでも変わってきます。結果だけを伝えて終わりにしてしまうと、ただ不安を煽るだけになってしまうので、検査後のサービスが幅広くあれば良いなと思っています。

「卵子の数を測ってどうするの?」と言われたこともありましたが、自分のキャリアとライフに向き合うきっかけになると思っています。先行テストの結果が出た後、全員がそれぞれ様々な行動を起こしました。何らかのきっかけを作ることができたのではないかと思っています。

これからは、人生100年時代なので、自分らしいキャリアを築いたり、やりたいことを実現したりと、今までよりももっと人生が豊かになっていくと思います。EggU を20代前半で使っていただいて、毎年経時変化を追い、出産後や更年期まで一緒に伴走していくのが理想とするサービスです。理想のライフとキャリアを実現するために、自分の体とどう向き合うのか、それをケアするために何ができるのか。「困った時にはEggUに聞いてみよう」というような、駆け込み寺のような存在になれたらいいなと思っています。

 

 


【 Profile 】

志賀 遥菜(しが はるな)

1991年生まれ、埼玉県出身。東京大学にて医療生命科学の研究に従事。優れた研究や技術が論文止まりになっていることに課題意識を持ち、『研究の社会実装』を実現すべく大好きな研究を離れビジネスを学ぶことを決意。新卒でP&Gに入社し、ジェンダー平等に関わる様々なプロジェクトのリーダーを務め、社内外の研修や制度導入等をリードする。女性のライフステージの変化に伴うキャリアアップの実現に大きな課題を感じたことをきっかけに、『研究の社会実装』を通じて生物学的な観点からライフキャリア計画ができるようなサービスを開発し、2021年パラレルキャリアとして株式会社BeLiebeを起業。