【教えて!沿線のお医者さん!】今さら聞けない!ジェネリック医薬品って何!?(神戸大学+阪神電車)

テレビや保険薬局などで、よく耳にするようになった「ジェネリック医薬品」。“先に出た薬と、有効成分や効き目が同じなのに安い”くらいの知識はあるものの、全く同じなの?どうして安いの?とまでは知らない人も多いのでは?そこで、今さら聞けない疑問を神戸大学 医学部附属病院の矢野育子先生にぶつけてみました!

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2017年10月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

神戸大学医学部附属病院
准教授・副薬剤部長 矢野育子先生
薬剤学分野(薬剤部)では、遺伝子関連情報に基づいた医薬品の適正使用や、医薬品の安全性に関する研究を行う。
「薬について分からないことがあれば、お気軽に薬剤部の窓口にお越しください。」

●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/


Q ジェネリック医薬品って何?

正式には「後発医薬品(以下、後発品)」といわれ、薬を開発したメーカーの特許期間(原則20年)、または再審査(※1)期間(通常8年)のどちらか長い方の期間が切れた「先発医薬品(以下、先発品)」と同じ主成分を使って作られた薬のことです。だだし、先発品に効能が追加されたり、新用法・新用量が設定された場合は、さらに再審査期間(4年)を要しますので、追加された効能等を有する後発品が製造可能となるのは、その再審査期間終了後になります。(下図参照)

※1 再審査/薬が承認されてから、通常8年後にその薬が有効かつ安全であるかどうか、厚生労働省の審査を受けること。

Q 「先発医薬品」と内容は全く同じなの?

主成分の種類と量、飲み薬なのか注射なのかという投与経路、使用量・使用方法、効き目・安全性は同じです。ただ、添加物や製造方法については、先発品と異なってもよいとされています。これは、先発品メーカーの主成分に対する「物質特許」は切れていても、「製剤特許」や「製法特許」がまだ切れていない場合があるためです。

Q ジェネリック医薬品を使う利点は?

最大の利点は、費用が抑えられることです。ジェネリック医薬品の薬価は、先発品の5割以下でスタートしなければならないと定められています。患者さんの負担額が減るのはもちろん、通常ですと薬価の7割を国が負担していますから、国の医療費節減にもつながります。また、飲みやすくなった、貼りやすくなった、嫌な苦みや匂いがなくなったなど、プラスαのメリットがあるものも多く、当院では、そういった薬を採用するようにしています。

Q どうして安くできるの?

薬を作るには、通常9~17年という研究開発期間を要します。この期間に、動物や細胞を使って、薬効や安全性の試験を行い、その後、実際の患者さんに対する臨床試験が行われます。こういった試験を行うために数百億円という費用がかかるといわれています。一方、ジェネリック医薬品については、先発品で安全性や薬効が証明されているため、試験を行う必要がなく、価格を抑えることができるのです。

Q デメリットはある?

先述の通り、添加物や製造法が異なることで、投与後、痛みが出たり、投与しにくかったり、まれにアレルギーを発症したりする可能性はあります。でもそれは先発品にもいえることで、ジェネリック医薬品では大丈夫なのに、先発品ではダメだというケースもあります。どちらにしても、添加物自体は国が安全だと認可したものを使用していますから、安心していただいて大丈夫です。万が一、健康被害があった場合は、先発品と同じように、国の補償が受けられます。

Q 処方された薬で、ジェネリック医薬品を使いたい場合は?

現在ではほとんどの保険薬局でジェネリック医薬品を置いていますので、薬剤師に相談してください。処方された薬で、ジェネリック医薬品に変更不可の場合は、処方箋に「×」がついていますので、ついてなければジェネリック医薬品に変更できます。

Q OTC医薬品(市販薬)にも ジェネリック医薬品はある?

もちろんあります。ただ、OTC医薬品の場合は、先発品と後発品の区別がつきにくいかもしれません。後発品自体の数もすごく多いので、どれにすればいいのか分からない方が多いと思います。成分表を見て、主成分と用量が同じものであれば薬効は同じですから、価格で決められてもいいと思います。ただ、製造法や添加物が異なると、使用感が異なる場合がありますから、詳しくは薬剤師に相談してみてください。処方箋の薬も出してもらえる「かかりつけ薬局」を持たれていると、飲み合わせのチェックなどもしてもらえるので安心ですね。最近では、フィジカルアセスメント(視診、聴診、触診など)を勉強している薬剤師もいます。信頼できる薬剤師を見つけてください。

【まとめ】ジェネリック医薬品とは?
●特許が切れた先発品と同じ主成分を含む医薬品
●添加物や製造方法は、先発品と異なってもよい
●動物試験(毒性試験)、臨床試験(有効性/安全性)は不要
●経口剤(飲み薬)の場合、服用後の血中濃度が先発品と同等であるかどうかを20人以上に調べる試験が必要
●薬価は先発品の約3~5割

 

 

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