【教えて!沿線のお医者さん!】尿酸値がポイント!「痛風」を予防しよう(神戸大学+阪神電車)

病名は知っているし、“プリン体”を摂りすぎると危ないということも認知されているのに「痛風」の原因や症状を知らない人も多いのではないでしょうか?特に男性に発症することが多く、その数は年齢とともに右肩上がりになっていくとの発表も。とても痛いことで怖れられるこの病気、実は、確実に予防できるボーダーラインがあったんです!神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科の小川先生にお話をお伺いしました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2017年4月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科 教授
小川渉先生
内科医としての幅広い診察能力を基に高度で専門的な診療を実践し、若手医師の育成にも努める。
「痛風の痛みはとても辛いですし、生活習慣の改善で予防できるため、約9割の方はご自身の努力で再発を防いでいるんですよ。」

●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/


Q 痛風ってどんな病気なの?

痛風は、高尿酸血症(血液中の尿酸濃度が高くなる状態)の代表的な合併症で、発作性の関節炎です。発作が起こると突然激しい痛みを感じ、関節が赤く腫れあがり、それが1週間ほど続きます。症状が現れるのは足の親指の関節がもっとも多く、足首やひざ、まれに手や肘の関節に起こることもありますね。高尿酸血症の方が飲酒や激しいスポーツなどをきっかけに発症することが多いとされています。また、尿酸値の変動も発作のきっかけになります。増えすぎた尿酸が関節の中で結晶化し、その結晶を白血球が処理する際に炎症が起こり、ひどい痛みや腫れを引き起こします。

Q 高尿酸血症ってなに?

血液中に含まれる尿酸の濃度が高くなり、7mg/dlを超えた状態です。尿酸は、細胞の核などに含まれるプリン体という物質が体内で分解されてできる老廃物。プリン体は細胞の新陳代謝でも産生されますし、食事からも体内に取り込まれます。本来、尿酸は尿に溶けて腎臓から排出されますが、プリン体の取り過ぎや肥満、飲み過ぎ、ほかの病気などが要因になり、適切な濃度が保てなくなることも。尿酸の濃度が8mg/dlを超えると、痛風をはじめとする様々な合併症が起こる可能性が一層高くなります。

Q プリン体を摂取しなければいいの?

プリン体が多く含まれているのは、レバーやエビ、白子、魚の干物など「旨味」が強いもの。イノシン酸など、ある種の旨み成分は、プリン体そのものなんです。注意が必要なのはアルコールです。よく「ビールに比べてプリン体が少ないから…」とか、「プリン体カットだから…」と、アルコールをたくさん飲まれる方もいますが、アルコール自体が尿酸値を高める作用を持っているんです。食事などにより体外から取り込むプリン体は2割程度。8割は体の中の新陳代謝で作られます。肥満やアルコール摂取によって体内で産生されるプリン体は増えるので、プリン体の摂取だけでなく、肥満や飲みすぎにも注意が必要です。

<1日のプリン体摂取目安は400mg!>
『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン』で示されている、プリン体の摂取目安は1日400mg。レバー類や干物、白子、ウニなどプリン体を多く含む食品を食べるときは意識しましょう。

Q 症状が出たらどうしたらいいの?

痛風発作は高尿酸血症が原因ですが、尿酸値を急に下げると発作を長引かせる要因になる可能性があるため、自分で判断して尿酸を下げる薬などを飲んではいけません。痛風と疑わしい痛みが現れたときは、かかりつけの内科などで尿酸値を測定してもらい、痛風かどうかを判断してもらいましょう。痛風と診断されれば、消炎鎮痛剤など痛みを抑える薬を処方してもらえます。痛風は、高尿酸血症を改善しないと何度も再発する怖れがあります。きちんと病院で診断してもらうことが大切です。

Q 予防や治療はできるの?

ポイントは尿酸値。尿酸濃度が7mg/dlを超えなければ痛風はほぼ発症しないので、7mg/dl以下をキープすればいいんです。逆にいえば、7mg/dlを超えていると、痛風発作を繰り返す危険があるということ。肥満の解消や暴飲暴食を控えるなど、体質や生活習慣を改善して尿酸値を下げましょう。それでも改善できなければ、お薬を飲むことになりますが、お薬は飲まずにすめばそれに越したことはありません。生活習慣を見直して改善させることをおすすめします。

●痛風予防に効果的なポイント

肥満を解消する
バランスよく食べ、総カロリーを制限しましょう。ゆっくりと噛んで食べることも有効です。

アルコールを控える
一度にたくさん飲む、毎日飲み続けることは避けましょう。

軽い運動をする
ウォーキングなど、有酸素運動は肥満の解消に有効です。

 

 

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