【教えて!沿線のお医者さん!】膠原病(こうげんびょう)やリウマチってどんな病気なの?(兵庫医科大学+阪神電車)
「膠原病」や「リウマチ」という言葉はよく耳にするけれど、実際にはどんな病気なのか、また、なぜリウマチの専門医がいるのかは、あまり知られていません。全身に症状が現れることもあり、放置すると進行し、生活に大きな影響を及ぼすこともあります。兵庫医科大学の橋本哲平先生に詳しく伺いました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2025年5月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/
<教えてくれた先生はコチラ>
兵庫医科大学 糖尿病内分泌・免疫内科学
講師 橋本 哲平先生
内科全般をベースに、関節リウマチや膠原病など、免疫にかかわる全身の病気を専門に診療する。
『関節リウマチの治療は、発症から3~6か月以内、遅くても2年以内に始めることが大切です。症状が
続く場合は、リウマチ内科や膠原病内科などの専門医の診察を受けてください。』
●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp
Q 膠原病とはどんな病気?
免疫の異常によって自分自身の身体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」の一種です。英語では「コラーゲンディジーズ」と呼ばれ、細胞と細胞をつなぐタンパク質(コラーゲン)に炎症が起き、皮膚、関節、血管、内臓など、身体のあらゆる場所に症状が現れます。膠原病は一つの病気ではなく、関節が腫れる「関節リウマチ」、全身に症状が出る「全身性エリテマトーデス」、目や口が乾く「シェーグレン症候群」、筋力低下を起こす「皮膚筋炎」、皮膚が硬くなる「強皮症」、血管に炎症が起こる「血管炎」など、20種以上ある疾患の総称です。多くが難病に指定されており、専門的な管理が必要とされます。病気によって症状は異なりますが、手足の血流が悪くなる「レイノー現象」や「日光過敏症」などが見られることが多いです。膠原病は「リウマチ性疾患」とも呼ばれますが、一般に「リウマチ」と言う場合は、関節に炎症が起きる「関節リウマチ」を指します。
Q 関節リウマチとはどんな病気?
関節リウマチは、膠原病のなかで最も多く、100人に1人がかかるといわれる病気です。関節を包む「滑膜(かつまく)」というコラーゲンを含む組織に炎症が起こり、手足の指、膝、肩、肘、手首などに腫れや痛みが現れます。初期は一部の関節だけに症状が出ますが、徐々に左右対称に広がるのが特徴です。進行すると骨が溶けて関節が破壊され、歩行や手の動きに支障をきたします。発症は50~60代の女性に多く、近年は高齢者も増えており、まれに10~20代で起きることもあります。命にかかわる病気ではありませんが、間質性肺炎などの合併症が起きると重症化することもあります。原因は分かっていませんが、様々な要因が複合的に関係していると考えられており、その一つが遺伝子です。遺伝するわけではありませんが、家族に関節リウマチ患者がいる場合、少しだけ発症の確率が上がることが分かっています。ほかに喫煙習慣や歯周病が引き金になるという報告もあります。なかでも、歯周病菌は自己免疫疾患の発症に関連しているといわれていて、特に関節リウマチの要因となる抗体「抗CCP抗体」が、歯周病菌に反応して作られやすいことが分かっています。
Q 関節リウマチの特徴的な症状は?
初期では、起床時に手指がこわばって動かしにくい「朝のこわばり」と呼ばれる症状が現れます。次第に関節が腫れ、痛みが伴うようになり、進行すると関節が変形してくることもあります。似た症状を持つ「変形性関節症」は、骨が張り出して“かたい腫れ”になるのに対し、関節リウマチは中の組織が腫れるため、やわらかく“ぷよぷよ”とした感触になるのが特徴です。また、手指に症状がある場合、変形性関節症では第一関節に多く(ヘバーデン結節)、関節リウマチは第二・第三関節に現れやすいです。ただし、第二関節に起こる変形性関節症(ブシャール結節)もあり、鑑別が難しいことが多いです。特に高齢の方で膝だけに症状がある場合、変形性関節症と診断されてしまい、関節リウマチが見逃されることもあります。以下の症状がある方は、専門医の診察を検討してください。
Q 関節リウマチの治療法は?
治療の基本は、メトトレキサートという「抗リウマチ薬」の服用です。効果が出るまで時間がかかるため、3か月ほどかけて慎重に調整します。効果が不十分な場合は、生物学的製剤という注射薬を使いますが、月2~4万円(健康保険3割負担の場合)の治療費がかかるため、患者さんが望まない場合は、複数の抗リウマチ薬やステロイド剤を併用することもあります。関節リウマチは、早期発見と治療により、多くの人が「寛解(症状が落ち着いた状態)」を目指せます。
~ホッと!HANSHINとは~
グルメやカルチャー、エンターテインメント、観光スポットに関する情報など阪神沿線の様々な「魅力」をぎゅっと紹介する沿線情報紙。阪神電車の各駅や阪急電鉄や近鉄(奈良線)の主要駅などで無料配布しています(毎月25日発行)。
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