【教えて!沿線のお医者さん!】水痘(すいとう)[みずぼうそう]は大人がかかると危険!?(兵庫医科大学+阪神電車)

水痘は、子どもだけでなく、大人もかかる可能性があり、重症化のリスクが高まることが知られています。また、水痘に一度かかった人でも、ウイルスが体内に潜伏し、将来的に「帯状疱疹(たいじょうほうしん)」として再発することがあるため、注意が必要です。兵庫医科大学の林秀樹先生に詳しく伺いました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2025年3月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ>

兵庫医科大学 皮膚科学
助教 林 秀樹先生
皮膚科医として、湿疹や皮膚感染症などの一般診療から、皮膚がんなどの腫瘍(しゅよう)性疾患まで幅広く診療。
『水痘や帯状疱疹は、早期発見と適切な治療が重要です。特に帯状疱疹は、初期の痛みを筋肉痛と勘違いして湿布を貼り、皮疹を湿布のかぶれと思い込むケースが多いため、注意してください。』

●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp


Q 水痘とはどんな病気?

水痘帯状疱疹ウイルスに感染して引き起こされる、子どもに多い病気です。発熱と同時に、全身の皮膚に小さな吹き出物(皮疹(ひしん))ができ、それが頭皮にまで及ぶのが特徴です。皮疹は、赤い斑点状から水ぶくれ(水疱)になり、最終的にかさぶたになる(痂皮化(かひか))と感染力がなくなり、治癒したとみなします。発症した場合、通常は1週間程度で症状が治まりますが、まれに熱性けいれん、肺炎、気管支炎などの合併症を起こし、重症化することがあります。日本では、9歳までに90%以上が感染するといわれていましたが、2014年10月から水痘ワクチンが定期接種となり、発症率は大幅に減少しました。

Q 大人が水痘にかかることはある?

水痘に一度もかかったことがない、または水痘ワクチンを接種していない場合、大人でも水痘にかかる可能性があります。基本的な症状は子どもと同じですが、大人は高熱や倦怠感が強く、水疱が多発する傾向があります。また、肺炎や脳炎などの合併症のリスクも高く、重症化しやすいとされています。妊娠中は、妊娠時期により流産のリスクが高まったり、胎児がウイルスに感染して先天的な健康被害を受けたりする可能性もあります。

Q 水痘の重症化を防ぐには?

水痘に一度もかかったことがない人は、ワクチン接種が最も有効です。水痘の潜伏期間は10~21日です。そのため、水痘患者と接触した後でも、72時間以内にワクチンを接種することで、発症を抑えたり、症状を軽減できたりする可能性があります。水痘の感染経路は、飛沫感染や接触感染だけでなく、空気感染も含まれます。 心当たりがある場合は、すぐに医師に相談してください。妊婦の場合は水痘ワクチンが接種できないため、妊娠前の接種が推奨されます。一方で、すでに症状が現れてから感染に気付いた場合でも、早めに医療機関を受診すれば、抗ウイルス薬(飲み薬または点滴)を投与することで症状の悪化を防ぐことができます。また、水痘の水疱は通常、痕(あと)が残りにくいとされていますが、破れた場合は皮膚のバリアが弱く、細菌に感染して傷痕が残ることもあります。 傷痕を防ぐためには、早めに皮膚科を受診し、適切な治療を受けることが大切です。

Q 水痘と帯状疱疹の関係は?

水痘帯状疱疹ウイルスに一度感染すると、症状が治まっても神経節に潜伏し続け、免疫力が低下した際に再活性化し、帯状疱疹を発症することがあります。神経節に沿って痛みが生じるほか、水疱が破れて細菌感染を起こすことがあり、特に高齢者の場合は「帯状疱疹後神経痛(PHN)」と呼ばれる強い痛みが長期間続くこともあります。帯状疱疹の治療も早めの開始が重要で、発症後72時間以内に抗ウイルス薬を投与すると、症状の軽減や後遺症の予防につながります。50歳以上の方には帯状疱疹ワクチンの接種が推奨されています。

 

 

 

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