【教えて!沿線のお医者さん!】気になる足の不調 下肢静脈瘤(かしじょうみゃくりゅう)の可能性は?(神戸大学+阪神電車)

日本人の10人に1人が発症しているといわれる下肢静脈瘤。「足の静脈が浮き出ている」「こむら返りがよく起こる」「足がむくみやすい」などの足の不調は、もしかすると下肢静脈瘤かもしれません。具体的にどのような病気なのか、治療は必要なのかなど、神戸大学附属病院の高橋宏明先生に詳しく伺いました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2024年8月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

神戸大学医学部附属病院 心臓血管外科
准教授 高橋 宏明先生
狭心症や弁膜症、大動脈解離、大動脈瘤などの治療を専門に行う。弁膜症の治療においては、同院で唯一低侵襲の内視鏡カメラ手術を行う。
『下肢静脈瘤の状態は、超音波検査で分かります。痛みのない簡単な検査なので、症状がある方は医師に相談してください。』

●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/


Q 下肢静脈瘤とは?

足の静脈の血流が悪くなり、血液が溜まってしまう病気です。通常、足に溜まった血液は、歩く時にふくらはぎの筋肉が伸び縮みするポンプ作用によって、心臓に押し上げられます。しかし、長時間立ちっぱなしの状態が続くと、このポンプ作用が十分に機能せず、静脈内に血液が溜まりやすくなります。また、静脈内には、心臓に向かう血液が戻って来ないように、逆流を防ぐ弁(静脈弁)が付いています。血液が溜まって血管が膨らんでしまうと、この弁が次第に正常に機能しなくなり、血液が逆流して、さらに足に溜まることになります。下肢静脈瘤は、美容師や調理師、医師、看護師など、立ち仕事が多い職業の人によく見られ、特に女性や肥満の人に多い傾向があります。

Q 下肢静脈瘤の症状は?

ほとんどの場合、最初は自覚症状がありません。ただ、血液が溜まって膨らんだ静脈が目立つようになるので、気にされる方が多いです。ひどくなると、通常4~5mm程度の静脈が1cm以上に膨らみ、瘤(こぶ)のような形状になって数珠つなぎに見えることがあります。炎症が起こり、色素沈着や足の腫れ、こむら返りなどの症状が現れることもあります。

Q 放置すると危険?

下肢静脈瘤は命に別状はありません。しかし、血流が悪くなると、血液がゼリー状に固まって血栓ができ、血管を詰まらせて炎症を起こし、血栓性静脈炎を合併することがあります。下肢静脈瘤の多くは、身体の表面にある表在静脈に発生するため、通常は血栓が心臓のほうに流れることはありません。ただ、ごくまれに血栓が、足の付け根部分にある深部静脈に流れ込むことがあります。その場合、血栓が心臓のほうに移動して、肺塞栓症(はいそくせんしょう)(エコノミークラス症候群)を引き起こし、急に息が苦しくなり、突然死を起こす危険があります。血栓性静脈炎を合併すると、痛みや皮膚の赤みが現れるので、その時点で早期に手術や、血栓を溶かす内服薬による治療を行うことが重要です。

Q 治療は必要?

辛い症状がない場合は、手術などの積極的な治療は推奨していません。医療用の着圧ストッキングを履くことで、逆流が起こりやすい表在静脈が圧迫されて、ほかの静脈に血液が流れるようになり、見た目も含め症状が緩和することが多いです。ストッキングの圧力やサイズにはさまざまな種類があるため、症状に合わせて選んでもらえるストッキングコンダクター(フットケア専門医)がいる外来で相談されることをオススメします。

Q 手術するのはどんな時?

足の腫れや痛み、こむら返りなどの症状にひどく悩まされている場合は、手術を検討します。逆流してしまう静脈弁は元には戻らないので、問題のある静脈ごと除去、または閉鎖する手術が一般的です。手術方法には様々な種類があり、各メリットとデメリットを説明したうえで、患者さんと相談して最適な方法を選びます。

Q 予防法は?

日常的に歩いて、筋肉のポンプ作用を使って血液を足に溜めないことが大切です。また、マッサージでリンパの流れを改善すると、一時的に血流もよくなり、むくみなどの症状が緩和されます。立ちっぱなしの時間が続く時は、市販のストッキングで構わないので圧迫療法を行うことも予防に効果的です。

 

 

 

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