【教えて!沿線のお医者さん!】冬こそ水分補給が大切!“かくれ脱水”の危険性(兵庫医科大学+阪神電車)
本人が症状を自覚しないまま脱水が進んでしまうといわれる「かくれ脱水」。夏場は熱中症対策として水分補給が意識されますが、冬場は意外と水分摂取量が減少しがちです。「かくれ脱水」になると、どのようなリスクがあるのでしょうか。対策法も含め、兵庫医科大学の服部益治先生に伺いました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2024年3月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/
<教えてくれた先生はコチラ!>
兵庫医科大学 小児科学
特別招聘教授 服部 益治先生
2009~2010年の豚インフルエンザ流行時に「教えて!かくれ脱水委員会」を立ち上げ、10年以上にわたり「かくれ脱水」の概念を社会に広めた。
『夜中にトイレに起きるのが嫌で水分を控える高齢の方がいますが、尿の回数を減らせる薬もありますので、かかりつけ医に相談してみてください。』
●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp
Q かくれ脱水とは?
血液や細胞内液などの体内にある液体成分(体液)量が減少し、脱水状態になっているのに本人が自覚してない“脱水症の初期段階”のことをいいます。かくれ脱水の初期症状は、頭がボーっとする、身体のだるさ、肌の乾燥などが挙げられますが、高齢の方は「年齢のせいだ」と見過ごしがちです。成人の場合、身体の中で体液が占める割合は一般的に体重の約60%ですが、65歳以上になると約50%に低下します。そのため、高齢の方はかくれ脱水になりやすいといえます。ほかに、感染症などで下痢や嘔吐をくり返す人、水分摂取が足りない人、体液の調整が未熟な乳幼児も、かくれ脱水になりやすいです。
Q 汗をかかなくても脱水するの?
体内の水分は、汗や尿のように目に見えて排出されるだけでなく、皮膚や呼吸からも失われます。その量は汗の排出量よりも多く、全体の4割近くを占めます。肌の乾燥や喉の乾きがある時は、すでにかくれ脱水になっている可能性が高いです。また、体液(約60%)のうち約40%が筋肉に貯蔵されているため、筋肉量の低下もかくれ脱水につながります。汗をかきやすい夏場だけでなく、空気が乾燥し、運動不足になりがちな冬場も、水分補給をして対策することが大切です。
Q かくれ脱水が進むとどうなる?
肌が乾燥してシワが増えたり、血流が悪くなって免疫や認知機能の低下を招いたりすることがありす。長期間続くと、血液がドロドロ状態になり、血管が詰まりやすくなって脳梗塞(のうこうそく)や心筋梗塞などの発生リスクが高まります。また、体内の水分量を調整する腎臓にも大きな負荷がかかり、慢性腎臓病に進行して、最終的に人工透析が必要になる原因にもなります。
Q かくれ脱水にならない水分摂取法は?
1日に必要な水分の約半分は食事から摂ることができます。特に日本人の主食である白飯は、水分を多く含んでいます。そのため、まずは1日三食しっかり摂ることが大切です。加えて、1~2時間おきにコップ1杯程度(100~200mL)の水分を摂取してください。一度にたくさん飲むと、脳が洪水を起こしたと勘違いして、すぐに排出しようとします。定期的に飲む習慣をつけるために、時報が鳴る度に飲むのがオススメです。就寝中は水分を摂取できないので、寝る前と起床時にもコップ1杯ずつの水分補給を行いましょう。寝室に濡れたタオルや観葉植物を置いて、湿度を保つことも効果的です。利尿作用のあるカフェインやアルコールではなく、麦茶や水などのノンカフェイン飲料で補うことも大切です。
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