【教えて!沿線のお医者さん!】夏バテの原因は暑さじゃなくて栄養不足!?(兵庫医科大学+阪神電車)
身体がだるくなったり、食欲が落ちたりする夏バテ。暑さで身体が弱っていると思いがちですが、実は毎日の食生活も大きく影響しているそうです。食生活で夏バテ対策を万全にし、夏を乗り切るコツを、兵庫医科大学病院の管理栄養士 塩貝貴久子先生に詳しくお伺いしました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2022年7月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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<教えてくれた先生はコチラ!>
兵庫医科大学病院 臨床栄養部
管理栄養士 塩貝 貴久子先生
食事制限が必要な患者さんに食事指導を行うほか、栄養摂取が難しい入院患者さんに対する栄養サポートチーム(NST)でも活躍。
『アルコールは夏バテを招く原因に。冷たいビールを飲みたくなりますが、控えめにして食事もしっかりと摂ってください。』
●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp
Q 栄養不足と夏バテは関係あるの?
外は暑いのに、屋内は冷房が効いて寒いという環境が多い夏は、寒暖差で自律神経のバランスが乱れやすくなります。そのため、熟睡できなかったり、消化機能が落ちたり、食欲がなくなる人も多くいます。そんな時、そうめんやアイスクリームなどの冷たいものばかりを摂りがちですが、これらはほとんどが糖質です。糖質に偏った食事ではたんぱく質が不足します。たんぱく質は体内のすべての細胞の材料となるもので、不足すると体力、思考力、免疫力の低下の原因に。食欲がなくても肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品を毎食1品は必ず摂るようにしてください。また、糖質を体内で活用させるためにはビタミンB1が必要です。不足すると疲労物質が溜まって逆に疲れやすくなります。ビタミンB1は、肉類、魚類、穀類、豆類に豊富に含まれ、豚肉とウナギは特にオススメの食材。ニラやニンニク、玉ねぎと一緒に調理すると、ビタミンB1の疲労回復効果がアップしやすいといわれています。
Q 夏バテ防止に役立つ栄養素は?
たんぱく質やビタミンB1以外には、ビタミンB群、ビタミンC、ミネラルも夏バテ防止に効果的です。ビタミンB群(ビタミンB1・B2・B6・B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)は互いに助け合って働くので、一緒に摂取すると効果的。肉類、魚類、卵、乳製品、大豆製品、海藻類、ナッツ類、野菜・果物類など幅広い食品に含まれているので、効率よく摂るためには多様な食材を摂ることが大切です。不足しているかな?と感じた時は、ご飯に焼き海苔を添える、おやつ代わりにアーモンドを食べる、主食を玄米に置き換える、レバーや魚、貝類の缶詰を時々利用するなどで、摂取できる食材の幅が広がると思います。ビタミンCは抗酸化作用が高く、紫外線による肌のダメージを回復する効果もあります。果物や野菜、特にキウイ、イチゴ、トマト、ブロッコリー、パプリカに多く含まれています。ミネラルは、汗をかくと失われるものがあります。普段は野菜をしっかりと食べていれば補えますが、汗をかいた時は失われたミネラルをすぐにイオン飲料などで補うと、だるさを感じにくくなります。これらの栄養を摂る以外に、脱水を防ぐために水分の補給も大切です。
Q 脱水防止の水分補給量の目安は?
一般的には1日1.5L程度といわれています。1.5Lの目安は朝・昼・夜の毎食時と、起床時・就寝前にコップ1杯ずつ、それ以外に500mLのペットボトルや水筒を1本飲む程度です。個人の年齢や体重、活動量によって必要量は変わりますので、上記を参考にこまめな摂取を心がけてください。
Q 夏に食欲を増進する方法はある?
クエン酸は、食欲をアップさせる効果があるといわれています。レモンやライムなどの柑橘類、お酢、梅干しなどの酸っぱい成分がクエン酸です。唾液や胃酸などの消化液を分泌しやすくするので、食欲が高まります。エネルギーを効率よく回して、疲労物質を溜まりにくくする働きもあります。必要な量は決まっていないので、料理にレモンを絞ったり、マリネや南蛮漬けにするなど、サッパリと食べやすくする目的で摂り入れるのがオススメ。梅干しは塩分が高いので、少しの量で十分です。
Q エナジードリンクは夏バテに効果がある?
エナジードリンクには一般的にカフェインが多く含まれています。カフェインは、交感神経を優位にして身体を活発にする働きがありますが、疲労回復には、副交感神経を優位にして身体をリラックスさせる必要があるので、実は逆効果。一時的に疲れを忘れさせてくれますが、根本的な疲労回復にはなりません。
Q 夏バテしない食生活を送るには?
主食(ごはん・パンなど)、主菜(肉・魚など)、副菜(野菜・海藻など)をバランスよく摂ることが大切です。バランスの目安は、一汁三菜(ご飯+汁物+おかず3品)の定食スタイル。汁物は必須ではなく、野菜の小鉢が2品以上(サラダなら両手に一杯程度)あれば理想的です。品数をそろえるのが難しい場合は、パスタや丼でも主食、主菜、副菜の要素がそろっていれば十分です。野菜が少ないと感じた時には野菜ジュースで補っても構いません。また、最近はたんぱく質だけ摂って主食を抜く人が増えているようですが、栄養士の立場としてはオススメできません。主食、主菜、副菜の各栄養素が互いに働き合うことで、身体を健康に保っています。たんぱく質は大切ですが、たんぱく質を摂るなら主食や副菜も一緒に摂るようにしてください。
※上記は一般的な内容です。基礎疾患のある方、食事・水分制限が必要な方は、主治医や管理栄養士に相談するようにしてください。
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