【教えて!沿線のお医者さん!】正しい日焼け対策を教えて!(神戸大学+阪神電車)

6~8月にかけては、紫外線量がピークに。うっかり対策をせずに外出して、皮膚が赤く腫れ上がってしまった経験はありませんか? 少しの時間でも、紫外線を浴びると皮膚は大きなダメージを受けています。神戸大学医学部附属病院の小野竜輔先生に、日焼けによる皮膚のダメージから対策法まで詳しく伺いました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2022年6月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

神戸大学医学部附属病院 皮膚科
講師 小野 竜輔先生
日光を浴びることで免疫系が過剰な反応を起こす「光線過敏症」や、皮膚にしみがたくさん生じる難病「色素性乾皮症(かんぴしょう)」など、紫外線を原因とする病気の治療に詳しい。
『紫外線は窓ガラス越しにも入ってきます。屋内でも紫外線対策を忘れないようにしてください。』

●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/


Q 日焼けをするとどうなるの?

日焼けをすると、皮膚が赤くなって炎症を起こし、皮がめくれたり水ぶくれができたりすること(サンバーン)があります。いわゆる皮膚がやけどを起こした状態で、その後に肌が黒くなります(サンタン)が、赤くならずにすぐ肌が黒くなる方、逆に肌が黒くなりにくい方がいます。これはメラニンの量が関係しています。メラニンとは身体を防護している色素のこと。紫外線を浴びるとメラニンが産生され、細胞の核(遺伝子情報の保存と伝達を行う部分)の上にパラソルのような形(メラニンキャップ)を作り、核を守ります。メラニンの量が増えると色は黒くなりますが、皮膚はダメージを受けにくく、白人の方や色白の方は、メラニンを産生する力が弱いため、ダメージを受けやすいといえます。サンバーンもサンタンも、原因は紫外線です。紫外線は日焼けを起こすだけでなく、しみ、しわ、たるみなどの光老化(加齢とは異なり、光によって起こる皮膚の老化現象)の原因にもなります。また、サンバーンを起こしやすい人は、皮膚がんになりやすい傾向があります。日本人では紫外線により皮膚がんになる例は少ないですが、外回りの業務が多い方や農業をしている方など、日常的に紫外線に当たっている方は注意が必要です。

Q 紫外線について教えて!

紫外線は3種類あり、波長の長いものから順にUVA、UVB、UVCといいます。UVCはオゾン層でカットされるので地表にはほぼ届きません。UVBも大部分がカットされますが、非常に強力で有害な波長。環境の変化でオゾン層の破壊が進むにつれ、量が増えているといわれています。UVBは、皮膚に届くと遺伝子情報を持つ核内のDNAが損傷します。DNAの損傷が修復できないほどになると細胞が死んでしまい、サンバーンを起こします。遺伝子がダメージを受けるため、たくさん浴びると、数年以上経ってから皮膚が硬くなったり、遺伝子情報が変わって皮膚がんになったりするなど、様々な症状が現れることもあります。UVAは皮膚の深部まで届く紫外線のため、浴び続けるとコラーゲンにダメージを与えたり、活性酸素を産出して光老化の原因になり、遺伝子情報に影響を与えることもあります。紫外線はビタミンD(健康な骨をつくる助けをする栄養素)を活性化させる働きもありますが、免疫を下げてしまうことも知られています。そのため、1日に15分ほど、手や腕などの露出する部分に日光が当たる程度で十分。また、きのこや魚からビタミンDを摂取できている場合は、必要以上に紫外線を浴びる必要はありません。

Q 日焼け止めについて詳しく教えて!

日焼け止め(サンスクリーン剤)には、SPFとPAの値が記されています。SPFはUVBを防ぐ強さの指標で、日焼け止めを塗らない場合と比べて、サンバーンが起きるまでの時間を何倍まで延ばせるかが数値で表されます。PAはUVAの防止効果の程度を表していて、「+」~「++++」まで4段階の指標で表記され、+の数が多いほどUVAを防ぐ効果が高くなります。ただ、これは1平方センチメートルあたりに2ミリグラムを塗布した場合ですが、実際にはこの量より少なくしか塗布できていないので、注意が必要です。主成分は紫外線吸収剤と散乱剤で、どちらかあるいは両方が含まれます。吸収剤は、細胞で吸収される前に皮膚の表面で吸収して、肌の内部に紫外線が届くのを防ぎます。散乱剤は、チタンや亜鉛などの金属を用いて肌の表面で紫外線を跳ね返すもので、塗ると白くなるのが特徴です。散乱剤はノンケミカルなので、肌への負担が少ないといわれています。

Q 効果的な紫外線対策は?

屋外に出かける際は、SPFやPAの数値が高い日焼け止めを2~3時間おきに塗り直してください。さらに、洋服や日傘、サンバイザー、サングラスなどで遮光を心がけましょう。洋服は、メッシュ素材など光を通すものは効果が低いので、紫外線防止効果のある織目の詰まった生地の衣服着用がおすすめです。また、ビタミンC、Eは活性酸素の働きを抑える作用があり、十分な量の摂取が光老化を防ぐためには重要です。最近では様々な“飲む日焼け止め”が発売されていますが、“塗る日焼け止め”の完全な代替品になるようなものはなく、注意が必要です。

 

 

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