月経時の悩みを解決する新たな選択肢“吸水ショーツ”とは?日本市場をリードするfermataさんに聞いてみた②
女性特有の健康課題をテクノロジーで解決する製品やサービスを指す「フェムテック」。現在、その代表的なアイテムとして知られつつあるのが吸水ショーツだ。
多くの女性が抱えていると言われている月経時の不調やトラブル。これまでなかなか公には語られず、タブー視され続けていた月経に関する課題に対して、フェムテック業界は積極的にアプローチを始めているという。
前回に引き続き、日本のフェムテック業界をリードする企業・fermata(フェルマータ)の共同創業者である中村寛子さんを取材。月経を巡るフェムテック業界の動向について教えてもらった。
月経に向き合わざるを得ない現代女性の事情
――最近では“生理の貧困”についてテレビ番組で特集が組まれるなど、女性の月経に関するトピックを耳にする機会が増えたように思います。どうしてこのような変化が起きているのでしょう?
現代社会において、多くの女性が月経に向き合わざるを得ない状況にきているからだと考えられます。というのも、昨今晩婚化・初産年齢の高齢化が進んでいて、現代女性は昔に比べて初経から初産までの期間が長くなったことにより生涯の月経回数が多産だった時代の50-100回程度と比べると450-500回と、大幅に増えているんです。※1
また、月経は女性の健康状態に大きな影響を与えます。月経期間だけでなく月経前に発症するPMS(月経前症候群)なども踏まえると、コンディション良く過ごすことができるのは1ヶ月のうち1週間のみ、という女性もいらっしゃるほど。程度の差こそあれ、女性にとって月経はそれほど大きな課題なんです。
――月経に伴う不調に、ようやく目を向け始めた、ということなんですね。
月経に関連した症状に伴うパフォーマンス低下による損失額は年間約4,900億円※2との試算も出ていますが、実際は、そういった生産性の文脈とは切り離して、女性のQOL向上を第一義として社会全体で取り組むべき問題だと思います。そんな中、最近注目を浴びているのが生理用の吸水ショーツです。
吸水ショーツは、新たな選択肢の一つになるはず
――先日阪急うめだ本店で行われた催事でも多数の製品が販売されていましたよね。そもそも吸水ショーツとは、どういったものなのでしょう?
これまでサニタリーショーツは、ナプキンを取り付けて使用する防水加工が施されたものが一般的でしたが、最近話題の吸水ショーツの場合、ショーツそのものに吸水機能が備わっています。製品によってその吸水可能量は異なりますが、履くだけで良いなど、様々な利点があるアイテムです。実はfermataのECサイトで初めて取り扱いを始めたアイテムも、吸水ショーツでした。ここ1年ほどでブランドも急速に増えており、確かな手応えを感じています。
――吸水ショーツを最初に取り入れたのは、どうしてなのですか?
実は、現在の日本の薬機法上、吸水ショーツは「生理用品」ではなく「雑品」として分類されています。そのため販売時の広告表現に苦労した部分もありました。ただ一方で、雑品扱いだったからこそ、早い段階で海外製品の輸入・販売に漕ぎ着けることができた、という側面もあります。ようやく語られるようになった月経に関する女性たちのニーズと、その取り入れやすさがちょうど合致したのかもしれません。
――今後、目指したいゴールはなんでしょうか?
はい。月経に限らず、女性が自身の体の悩みを放置することなく、オーナーシップ(所有権)を持って豊かで健康な生活を送ることができるようになることが、我々fermataが目指すゴールです。そのために必要なのは、選択肢を増やすこと。吸水ショーツは、月経に向き合う女性にとってまさに新たな選択肢になるはず。ぜひ一度、使ってみていただきたいです。