【教えて!沿線のお医者さん!】爪の切り過ぎが原因!?巻き爪の解決方法を教えて!(兵庫医科大学+阪神電車)

「足の爪が変形している」「爪の周りの皮膚が腫れて歩くと痛い」といった経験はありませんか? それは「巻き爪」が原因かもしれませんが、自分の症状が巻き爪なのかどうか分かりづらいという方も多いようです。そこで、兵庫医科大学の永井 諒先生に、巻き爪の原因や治療法、予防法などを詳しく伺いました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2021年3月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

兵庫医科大学 皮膚科学
助教 永井 諒先生
陥入爪(かんにゅうそう)の治療を含め、皮膚科全般の診察・治療に詳しい。専門は、皮膚ガンなどの皮膚腫瘍の外科治療。外来初診は金曜日を担当。
「爪は、貧血や低栄養などの症状も現れやすい部分。黒い線が現れて、メラノーマ(悪性黒色腫)が心配な方は診てもらってください。」

●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp


Q 巻き爪とはどういう状態のこと?

巻き爪とは、爪が丸まって、巻いたように変形した状態のことで、多くは足の指に起こります。爪の先端や両端が軟部組織(皮膚など)に突き刺さる陥入爪と混同されやすいのですが、巻き爪と陥入爪は別の状態です。巻き爪になると、陥入爪になりやすくなりますが、爪が巻いていなくても陥入爪になります。どちらも爪の切り過ぎが最も多い原因で、お子さんから若い方、お年寄りまで年代にかかわらず、多くの方が悩まれています。陥入爪になると、軟部組織に食い込んだ箇所が炎症を起こして痛みが発生します。ばい菌が入って感染症を併発することもあります。

Q どうして爪を切り過ぎると巻き爪になるの?

爪は、指に下から力が加わった時に盛り上がってくる軟部組織を押さえる働きをしています。そのため、爪を深く切り過ぎてしまうと上からの押さえがきかず、軟らかい部分が徐々に盛り上がってきます。すると、爪が伸びてきた際に突き刺さり、陥入爪になったり、真っ直ぐ伸びることができずに変形して巻き爪になったりします。陥入爪や巻き爪が手よりも足の指に起こりやすいのは、足のほうが指に荷重がかかりやすいからです。

Q 爪の切り過ぎ以外に原因はある?

歩き方や靴が原因になることも多いです。歩く時、爪が伸びる方向に均等に力がかかると爪はまっすぐ伸びます。しかし、O脚やX脚の方など、重心が偏った歩き方をすると、力がかかる部分の軟部組織が盛り上がってきて、爪が変形したり、食い込んだりします。ヒールのある靴や、サイズの合わない靴を履いている場合も、足の指が変形して荷重が偏ってしまうので、軟部組織がいびつに盛り上がり、同じことが起こります。また、爪は正しく荷重がかかることで、平らな形を保つことができるため、まったく爪に荷重がかからない場合でも変形してきます。例えば、ほとんど歩かない方や、指に力がかからない歩き方(浮き足)をする方は、巻き爪になりやすいです。生まれつき爪が変形しやすい方もたまにいらっしゃいます。

Q どうすれば治る?

爪の切り過ぎが原因の場合は、爪を皮膚よりも長く伸ばすことで解消します。痛いからといって、刺さっている部分を切ってしまうのは厳禁。切ることでまた深爪になるので、一層、軟部組織が盛り上がって悪化してしまいます。既に盛り上がって爪の変形が始まっている場合は、爪が伸びるにつれ変形はひどくなっていきます。医療機関で、痛みを抑えたり、爪の変形を矯正したりしながら、爪を伸ばすようにする治療を行うのがいいでしょう。歩き方や靴が原因の場合は、インソールで指の負担を減らしたり、足の形に合った靴に変えることで改善することもあります。

Q どんな治療をするの?

ワイヤーを装着して巻いている爪を反らす方法、爪の角に医療用チューブを挟んで爪が刺さるのを防ぐ方法、テーピングで盛り上がっている軟部組織を引っ張って爪に当たらないようにする方法の3つが主な治療法です。どの治療法も、そのまま1カ月程度爪を伸ばし、変形部分がなくなって理想の形に戻るのを待ちます。腫れがひどくて歩けないような重症の方は、食い込んでいる爪の部分を根元からすべて切り取って、根元を薬品で焼いてその幅の分の爪は生えてこないようにする(永久的に爪の幅を狭くする)手術を行うこともあります。手術やワイヤー治療、チューブ治療の一部は保険適用になっていないため、自費治療になります。どの治療を行うかは、医師と相談してください。

Q 何科で診てもらえばいい?

爪は皮膚の一部なので、皮膚科であれば診てもらえます。ワイヤー治療などの自費診療に関しては行っていないクリニックもあるので、ホームページなどで調べるか、医師に尋ねてみてください。皮膚科以外では、整形外科や形成外科でも行っている場合があります。診察は、痛みが出た段階で来ていただいたほうが、爪の切り方の指導やテーピングなどの簡単な治療で済みます。

Q 巻き爪を予防するには?

まずは、爪を切り過ぎないことです。爪の下にある皮膚よりも短く切ってしまうと切り過ぎです。爪は指先よりも丸みを帯びているので、先端の白い部分に沿って爪を切ってしまうと、両端の部分が皮膚よりも短くなり、爪の角が食い込んだり、変形したりする原因になります。爪の両端は白い部分が少し残っている程度にし、爪全体の形をスクエアに切ると良いでしょう。ただし、きれいに整えていたとしても、歩き方や靴の刺激で、巻き爪になる可能性があります。歩き方は、かかとの中心から土踏まずの外側(小指側)を通って、親指か人差し指へ重心を移動させるのが良いと言われています。靴は、かかとがしっかり合って、土踏まずのサポートがついているスニーカーがおすすめです。きちんとサイズを測って合う靴を履くようにしてください。

 

 

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