【教えて!沿線のお医者さん!】夜中の辛い「こむら返り」どうして起こるの?(兵庫医科大学+阪神電車)
ふくらはぎに突如、動けなくなるほどの激痛が走る「こむら返り」。疲れた時や、冷えた時、就寝中に発症することが多いようですが、どうして起こるのでしょうか。もしかしたら、他の病気のサインかもしれません。こむら返りの原因や対処法、予防法にいたるまで、兵庫医科大学の楠 博先生に詳しく伺いました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2020年1月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/
<教えてくれた先生はコチラ!>
兵庫医科大学 内科学総合診療科
楠 博先生
専門分野は、一般内科、老年内科、腎高血圧。サルコペニア、フレイルの研究も行う。
「こむら返りは誰にでも起こり得る症状です。頻繁に繰り返す場合は、かかりつけの一般内科で診てもらってください。」
●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
https://www.hosp.hyo-med.ac.jp
Q こむら返りとはどんな状態のこと?
“こむら(腓)”とは、腓腹筋(ひふくきん ※ふくらはぎ)のこと。こむら返りは、ふくらはぎに起こる筋攣縮(きんれんしゅく ※筋肉が痛みを伴ってけいれんしている状態)の総称で、医学的には「腓腹筋けいれん」と呼んでいます。ふくらはぎは、身体の中では比較的大きな筋肉で、足先に届いた血液を心臓に戻すという働きがあります。ポンプのように伸縮を繰り返しているため、けいれんを起こしやすいと考えられますが、中には足の裏や指がつる人もいます。痛みが長時間続くことはほぼなく、症状に適したケアを行い、安静にしていると、改善するケースがほとんどです。
Q どうして起こるの?
こむら返りが起きる原因は、明確には分かっていません。運動中や水泳中に、突如襲われた経験がある方も多いと思いますが、そういった運動に関連して起こるこむら返りは、局所の筋肉を使い過ぎて、血液の供給が需要に追いつかなくなってしまい生じます。また、運動などで大量の汗をかくと脱水状態になり、筋肉や神経の働きを調整している血液中のカルシウム・マグネシウムなど、電解質のバランスが崩れることがあります。そうすると、筋肉は十分な代謝を行うことができなくなり、こむら返りが起こるリスクが高くなります。
Q 何度も繰り返す場合は何かの病気?
何度も繰り返す場合は、生活習慣の影響や、何らかの病気のサインであることも考えられますので、医療機関の受診をおすすめします。
●考えられるこむら返りの原因
・運動関連
過度の労働や運動による体の疲れ・体の冷え・ふだん使わない筋肉の使用・急な負荷など
・電解質(ミネラル)などのバランス異常
食生活の乱れ・熱中症・腎疾患(人工透析の場合)・脱水・下痢・嘔吐など
・血管系疾患
下肢静脈瘤・血管炎・閉塞性動脈硬化症など
・内分泌系疾患
甲状腺機能低下症・副甲状腺機能低下症・アジソン病など
・神経筋疾患
脳梗塞・椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・筋萎縮性側索硬化症・筋ジストロフィーなど
・代謝異常
糖尿病・肝硬変・低栄養状態など
※一時的な糖分の過剰摂取も、代謝のためにビタミンが消費されることで、こむら返りが起こることがある。
・骨関節疾患
関節炎など
・妊娠関連
疲労物質や発痛物質の滞留
※黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きによる血管拡張に伴う血流の増加、子宮が膨らむことによる血管圧迫、運動量の減少などで足に血液がたまりやすくなるからと考えられる。
・薬剤の副作
高血圧症、脂質異常症、ぜんそく、抗がん剤、ホルモン剤などの薬
Q どうして寝ているときに起こるの?
就寝中は、足の甲とすねが一直線になる状態が長時間続き、感覚器官の働きが鈍くなるからです。加齢に伴う筋肉量の減少、筋肉疲労の蓄積、動脈硬化、睡眠時の発汗による電解質(ミネラル)の消費、冷えによる血流の低下などが重なると、さらにリスクが高くなります。
Q どうして冬に起こりやすいの?
「冷え」が大きく関係しています。ふくらはぎは全身に血液を巡らせる大切な役割を担っています。冷えて、ふくらはぎの筋肉が凝り固まってしまうと血流が滞り、筋肉の収縮に必要な栄養素が十分に届きにくくなるのです。そのような状態で急に足を伸ばすと、こむら返りが起こりやすくなります。
Q こむら返りが起こった際の対処法は?
ふくらはぎを伸ばすことが重要です。足を伸ばして座り、かかとを前に突き出してつま先を手前に引っ張るストレッチをおすすめします。つま先を手でつかむのが辛い人はタオルを足に引っかけて引っぱってもよいです。そのほか、局所を温めて血流をよくする、マッサージをして筋肉をほぐすなどを行って対処します。運動時に起こった場合は、電解質を含んだスポーツドリンク等の摂取もおすすめします。また、ビタミンB1や、漢方薬「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」の服用も効果的です。特に「芍薬甘草湯」は即効性があるので、足がつった時にすぐ服用するのがベスト。こむら返りは「前兆」があることが多い症状ですので、「前兆」を感じたら早めに服用してください。難しい時は、つってしまった後に服用しても効果が期待できます。しかし、だるさ、かゆみ、発疹などの副作用も生じやすいため、服用する際は、回数を医師と相談してください。
【教えて!こむら返りの予防法】
・運動前にはふくらはぎのストレッチや準備運動を行う
※オススメのストレッチ方法は、机などに両手を置いて体重を預け、片足ずつふくらはぎを伸ばすことです。筋肉が刺激されて冷えの改善にもつながります。
・運動中は水分と電解質(ミネラル)を忘れずに摂る
・冷え対策に、足湯や締め付けないレッグウォーマーも◎
・牛乳や小魚、海藻類などミネラル豊富な食品を積極的に摂る
・鶏肉・牛肉・魚・大豆製品・酢で血流アップ!
・就寝前にはコップ一杯の常温のスポーツドリンクを飲む
~ホッと!HANSHINとは~
グルメやカルチャー、エンターテインメント、観光スポットに関する情報など阪神沿線の様々な「魅力」をぎゅっと紹介する沿線情報紙。阪神電車の各駅や阪急電鉄や近鉄(奈良線)の主要駅などで無料配布しています(毎月25日発行)。
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阪神電気鉄道(株)は、阪神間において安全で質の高い医療の提供に取り組む神戸大学・兵庫医科大学と連携し、沿線住民の健康増進への貢献を通じた沿線の活性化を推進しています。2016年からは、子どもから大人までが健康や医療について楽しく学べる「HANSHIN健康メッセ」を開催しています。
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