【教えて!沿線のお医者さん!】くしゃみや鼻水…風邪ではなく 寒暖差アレルギーかも!?(兵庫医科大学+阪神電車)

朝晩ぐっと冷え込む季節に、くしゃみや鼻水が止まらないという経験はありませんか?「寒くなったので風邪をひいたかな?」「アレルギー性鼻炎かな?」と思っていたら、実はそれ、寒暖差アレルギーかもしれません。寒暖差アレルギーは、風邪や花粉症とどう違うのでしょうか?原因から治療法、予防法まで、兵庫医科大学の都築(つづき)建三先生に詳しく伺いました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2019年11月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

兵庫医科大学 耳鼻咽喉科・頭頸部外科学
准教授 都築 建三先生
日本耳鼻科咽喉学会認定専門医。日本アレルギー学会アレルギー専門医。特に鼻科学を専門とする。月・木曜日に診療を担当。慢性副鼻腔炎の術後の評価法と治療法に関する論文が優秀だとして、第55回日本鼻科学総会・学術講演会にて、「第23回日本鼻科学賞」を受賞。

●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
http://www.hosp.hyo-med.ac.jp


Q 寒暖差アレルギーってどんな病気?

寒暖差アレルギーとは、激しい気温差が原因で、くしゃみ、鼻水、鼻づまりといった症状が現れる病気です。医学的には「血管運動性鼻炎」と呼びます。名前に“アレルギー”がつく鼻の病気では「アレルギー性鼻炎」がよく知られています。アレルギー性鼻炎は、花粉、ダニ、ハウスダストなど、アレルギー症状を引き起こす物質(アレルゲン)が原因であることに対して、寒暖差アレルギーは、アレルゲンが原因ではありません。しかしながら、症状が「アレルギー性鼻炎」と非常によく似ているため、「寒暖差アレルギー」と呼ばれるようになったと思われます。

Q 気温差があるとどうして発症するの?

人間は、自律神経の働きによって、37℃前後に体温を維持しています。鼻は外気を取り込む最初のフィルターで、体温より熱い空気を吸うと、鼻水を出して冷やそうとしますし、逆に乾燥した冷たい空気が入ると、鼻水で温めて潤そうとします。しかし、この働きが頻繁に繰り返されると、自律神経が働きすぎてエネルギーを消耗し、誤作動を起こしてしまうことがあります。寒暖差アレルギーは、そういった自律神経の誤作動で起こると考えられています。一般的に、7℃以上の寒暖差があると発症しやすいと言われ、日中と朝晩の気温差が激しい日が続く今の季節は、注意が必要です。

Q 寒暖差アレルギーの症状は?

くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主な症状です。のどの痛みや違和感を発症することもあります。自律神経の誤作動によって起こることから、イライラや睡眠不足、疲労感や体のだるさを感じることもあります。

Q 風邪やアレルギー性鼻炎との見分け方は?

目のかゆみなど、アレルギー性結膜炎を併発していればアレルギー性鼻炎、体がだるく発熱もあれば風邪(感冒)で、細菌感染を伴えば青鼻が出るようになります。しかし、これらはあくまで目安。寒暖差アレルギーかどうか確定する検査はなく、鼻水や鼻づまりの症状がみられ、アレルゲンやウイルスの検査をしても陰性であった場合に、寒暖差アレルギーの可能性が高いと診断します。寒暖差アレルギーとアレルギー性鼻炎を併発していたり、悪化して細菌感染を起こしていたりすることもありますので、検査や問診などを組み合わせて総合的に判断します。

Q 診察を受けた方がいい?

睡眠中に鼻呼吸をすることは、覚醒時に使った脳をリセットする作用があると言われています。寒暖差アレルギーで鼻づまりを起こし、睡眠時に口呼吸を続けていると、脳をリセットできず睡眠不足となったり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こす原因にもなります。睡眠中は、成長ホルモンが分泌されますので、お子さまの成長に悪影響が出ることも考えられます。放置すると、他の病気を併発して悪化する可能性もあります。あまり軽視せずに、医療機関にかかって治療を行うことをおすすめします。

Q どんな治療をするの?

まず症状に合わせた薬を飲んで、症状を抑えます。ただ、それだけでは根本的な治療になりません。根本から治すには、寒暖差アレルギーの原因である自律神経のバランスを整える必要があります。しかし、特効薬はあまりありませんから、生活習慣の改善が有効な予防になり、治療にもなります。まずは、体が感じる寒暖差をなくすこと。日中と朝晩の気温差だけでなく、室温と外気温の変化にも注意してください。寒くなったら、上着を羽織るなどして体を温めてください。入浴時には、なるべく湯船につかって体を温め、寝ている間は、特に足を冷やさないほうが良いと考えられています。

Q 寒暖差アレルギーを予防するには?

筋肉が少ない方は寒暖差の影響を受けやすいようですので、男性よりも女性や高齢者の方が、寒暖差アレルギーの発症率が高いと言われています。運動をして筋力アップを心がけてください。睡眠も十分取って、普段から体力をつけておくと、寒暖差アレルギーによる疲労を防ぎやすくなるでしょう。バランスのいい食事を摂ること、たばこやお酒を控えることも大切です。これらは、免疫力アップにもつながり、アレルギー性鼻炎の予防にもつながります。寒暖差アレルギーにかかりやすい今の季節は、キク科のヨモギやブタクサ、イネ科、ダニなどによるアレルギー性鼻炎にもかかりやすくなります。アレルギー性鼻炎には、肉などに含まれるオメガ6脂肪酸を控え、魚に含まれるオメガ3脂肪酸の摂取も良いと言われていますので、併せて気をつけてみてください。

 

 

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