【教えて!沿線のお医者さん!】感染力が強くて危険!流行性角結膜炎(はやり目)ってどんな病気?(神戸大学+阪神電車)
通称「はやり目」とも言われる「流行性角結膜炎」。目が充血しているだけだと軽く考えていると、集団感染を引き起こしてしまうことも!「どんな病気なの?」「どんな症状が出たら注意すべき?」「人にうつさないためにはどうすればいい?」など、神戸大学医学部附属病院の長井隆行先生に伺いました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2019年8月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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<教えてくれた先生はコチラ!>
神戸大学医学部附属病院
眼科学分野 病院講師・外来医長
長井 隆行先生
角膜や結膜を専門とし、角膜感染症やドライアイの治療、角膜移植などに多く携わる。
『目の乾燥は、様々な眼病の元となります。目が乾く原因はたくさんあり、治療法も広がっています。一度、眼科を受診してみてください。』
●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/
Q 流行性角結膜炎ってどんな病気?
白目(結膜)が炎症を起こす病気を結膜炎と言います。結膜炎は、原因によって、大きく感染性と非感染性に分類され、感染性はさらに細菌性とウイルス性に分類されます。流行性角結膜炎はウイルス性に属しており、アデノウイルスというウイルスの特定の型に感染して起こります。
Q 流行性角結膜炎の症状は?
結膜が充血するほか、急に涙や目やにがたくさん出ます。そのほか、まぶたの腫れ、異物感、耳の前にあるリンパ節が腫れて痛みを伴うこともあります。原因となるアデノウイルスは非常に感染力が強く、片目に発症すると、多くの方が自分でもう片方の目に感染させてしまうため、両目に発症するケースが多くみられます。また、症状が軽いと感じても、知らないうちに集団感染を引き起こしてしまう可能性がありますので、注意が必要です。
Q ほかの結膜炎との症状の違いは?
プール熱と呼ばれる咽頭結膜熱は喉の腫れや発熱を伴い、アレルギー性結膜炎は強いかゆみを伴うということ以外は、一見した症状の違いはほとんどありません。医師でも、初見で「細菌性」なのか「ウイルス性」なのか「アレルギー性」なのかを判別することが難しい場合もあるため、症状で自己判断せずに、結膜に充血が見られたら、早めに受診して検査を受けることをおすすめします。特に、充血が2~3日以上続く場合や、黄色っぽいどろっとした目やにが起床時以外にも絶えず出てくる場合は、感染性の疑いが強いので、すぐに眼科にかかるようにしてください。
Q どんな検査をするの?
結膜に炎症が見られたら、感染性の疑いがあるので、一般患者とは別のスペースで診察を受けていただきます。白目やまぶたの裏を診察して、結膜炎だと医師が診断すれば、アデノウイルス用の検査キットを用いて、結膜をこすったり、涙を採取して、アデノウイルスが存在しているかを調べます。この検査で陽性であれば、アデノウイルス性の結膜炎だと診断しますが、陰性の場合でも、たまたま採取した場所にウイルスが存在していなかった可能性も考え、治療しながら様子を見ます。
Q どんな治療をするの?
現状では、アデノウイルスを死滅させる有効な薬はないため、炎症を抑えるための目薬や、細菌による二次感染を防止するための抗菌薬を処方します。完治するまでには、通常1~3週間かかります。
Q 学校や職場に行ってもいい?
流行性角結膜炎は、学校保健安全法の第三種学校伝染病に指定されています。子どもは医師の許可が出るまで学校などを休まなければいけません。大人の方も仕事を休むことをおすすめします。特にプールに入ることは絶対に避けてください。
Q うつさない、うつらないためには?
アデノウイルスは、流行性角結膜炎にかかっている方が目を触った手で他のものを触った場合に、そこから感染します。そのため、流行性角結膜炎の患者さんは、目を触らないこと、目を拭くときはティッシュペーパーなど使い捨てのものを使うこと、タオルなどは家族と別のものを使うこと、お風呂は最後に入ること、などに気をつけてください。うつらないためには、石鹸による手洗いを徹底し、目を触らないことです。目の乾燥も大敵。目が乾燥しがちな方は、防腐剤などが入っていない、涙に近い成分の目薬で、定期的に目を潤すとよいでしょう。流行性角結膜炎は、誰でもかかることがあり、感染すると人にうつしてしまう可能性があります。症状が軽くても、必ず流行性角結膜炎かどうかを検査し、医師の指示を受けてください。
【流行性角結膜炎のまとめ】
●目の充血が2~3日続いたら、症状が軽くても受診しましょう。
●日中に目やにがたくさん出るようなら要注意!すぐに病院へ。
●流行性角結膜炎にかかったら、医師のOKが出るまで学校や仕事は休みましょう。
●流行性角結膜炎の疑いがあるなら、人の多い場所への外出は控えましょう。
●「目を触らない!」「手を洗う!」が、うつらない、うつさないカギ。
●目の乾燥は大敵!乾燥しがちな人は、刺激の少ない目薬で目を潤す習慣を。
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