【教えて!沿線のお医者さん!】誰にも言えない”痔(ぢ)”の悩み、どうすればいいの?(兵庫医科大学+阪神電車)

実は密かに悩んでいる人が増加中の「痔」。若い女性が、便秘や妊娠をきっかけに痔になるケースもあるそうです。けれど、対処法がわからず放置している人も多いのでは?そこで、痔とはどういう病気なのか、どうして痔になるのか、どんな治療をするのかなど、正しい知識を得るために、兵庫医科大学の野田雅史先生に伺いました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2018年9月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

兵庫医科大学 下部消化管外科学
講師 野田 雅史先生
大腸がん、特に肛門に近い下部直腸がんを専門とする。進行がんや再発がんでも、永久人工肛門にならないための括約筋温存手術の当院成功例90%に大きく寄与。

●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
http://www.hosp.hyo-med.ac.jp


Q 痔ってどんな病気?

痔は、肛門や肛門周辺に起こる病気のことです。一般的に3種類あり、最も多いのが、いぼ状のものが飛び出る「痔核(ぢかく)(いぼ痔)」です。あとの二つは、硬い便が出た際などに肛門付近の皮膚が切れる「裂肛(れっこう)(切れ痔)」と、肛門付近の皮膚に瘻孔(ろうこう)(管状の穴)ができて膿が出てくる「痔瘻(ぢろう)(あな痔)」です。主な症状は以下のとおりです。

<痔の種類と主な症状>
[痔核]…肛門にいぼのような膨らみがある。痛みや出血を伴うこともある。
[裂肛]…肛門付近の皮膚が切れて痛みや出血がある。
[痔瘻]…下着に膿がつく。腫れや痛みを伴い、発熱することも。

Q 痔核について教えて!

肛門の周囲には、肛門のすき間を埋めて、便が漏れるのを防いでいるクッション組織があります。このクッション部分には、毛細血管が集まる静脈叢(そう)があり、ここに何らかの負荷がかかってうっ血し、いぼのような膨らみができるのが痔核です。この膨らみが、歯状(しじょう)線(直腸と肛門の境にあるギザギザの線)より上の直腸部分にできた場合を「内痔(ないぢ)核」と言います。うっ血した部分に、硬い便が触れると出血することがありますが、歯状線より上は、直腸の粘膜組織に当たる部分で神経がないため、通常は痛みがありません。ただ、うっ血がひどくなり、腫れて歯状線より下に突出してきた場合は痛みを伴う場合があります。一方、歯状線より下の肛門部分に膨らみができた場合を「外痔(がいぢ)核」と言います。神経が通っている皮膚にできるので、静脈の中に血栓ができて腫れると痛みがあります。

Q 痔核はどんな治療をするの?

血液の循環を良くしてうっ血を改善させる成分や、痛みを取る麻酔成分が含まれている内服薬、座薬、塗り薬を用いて治療します。いぼが突出したまま戻らず、薬で改善しない場合は手術を行います。痔核の手術には以下の3つの手法があります。

<痔核の手術療法>
●ミリガンモルガン法
静脈叢に流れ込む動脈部分3か所を縛って結び(結紮(けっさつ))、うっ血部分を切除する方法。従来から行われている手法で、4~5日間の入院が必要。手術後しばらくは、排便時などに痛みを伴う。

●PPH法
筒状の専用器具を肛門に差し込み、うっ血してゆるんだクッション部分をぐるりと切り取って、同時に縫合も行う方法。痛みがなく、日帰り手術が可能だが、医師の技術と経験を要する。

●ジオン注射法
痔核を硬化・縮小させる効果のあるジオン注射(硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸の注射)を4か所に行う、近年最も多い治療法。痛みがなく、日帰り手術も可能だが、再発の可能性がある。

Q 裂肛について教えて!

裂肛は若い女性に多い病気です。通常は自然に治癒しますが、「痛い→排便するのが怖くて我慢する→便秘になる→硬い便が出る→裂肛になる」という悪循環を招きがちで、繰り返し裂肛になるケースが多いのが特徴です。慢性化した場合、まれに裂肛部分に潰瘍(かいよう)ができて瘢痕(はんこん)(傷跡)になり、肛門が狭くなって便が出にくくなることがあります。この場合は手術をすることもあります。

Q 痔瘻について教えて!

歯状線にある凹み部分(肛門陰窩(こうもんいんか))に大腸菌などの細菌が入り込み、中にある肛門腺に感染して化膿すると、膿がたまって腫れ、肛門周囲膿瘍(のうよう)と呼ばれるこぶを形成します。ここを切開して膿を出せば治癒しますが、進行してしまうと肛門の外にまで達する瘻孔ができ、皮膚に穴が開いて、そこから膿が出てくるようになります。これが痔瘻です。痔瘻になってしまうと、薬では治りませんので手術が必要です。何年も放置すると、まれに痔瘻がんになるケースがあります。

Q 市販薬で治してもいい?

症状が軽い場合は、市販薬を試してみても構いません。ただ、痔だと思っていても、実は、難治性炎症性腸疾患の一つ「クローン病」や「直腸がん」にかかっているケースもあります。一度肛門科を受診して、大腸カメラによる検査を受けることをおすすめします。

Q 痔にならないためには?

以下を心がけてください。ただし、便秘改善のために刺激性の下剤を常用すると徐々に効かなくなります。常用される場合は、便を軟化させる酸化マグネシウムを有効成分とする浸透圧性下剤がいいでしょう。

<痔にならないための6か条>
①食物繊維や水分補給を心がけ、便秘にならない
②トイレで10分以上いきまない
③長時間同じ体勢を取らず、適度に体を動かす
④規則正しい生活をしてストレスを溜めない
⑤排便後はシャワートイレを使用するなど、清潔に保つ
⑥アルコールや刺激性食物を摂取し過ぎない

 

 

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