健康寿命をのばすコツ~押さえておきたい『3つのコツ』 

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2018.4.16

最近、健康寿命という言葉をよく耳にしませんか。

平均寿命は、ある集団が生まれてからどのくらいの期間を生きたかの平均を示す指標ですが、健康寿命とは日常的に人の手を借りずに、自立した生活ができる期間を指します。従って、平均寿命から健康寿命を差し引いた期間が、要介護期間の目安となります。

日本は世界的に長寿の国といわれていますが、男女ともに要介護期間が10年を超えることから、国も健康寿命の延伸に向けた様々な施策に取り組み始めました。厚生労働省「2016年簡易生命表」によると、全国における関西6府県の健康寿命の順位は決して芳しい状況ではありません。

そこで今回は、健康寿命延伸に役立つトピックスを、大塚製薬の学術担当者に解説いただきます。

 

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やまひら さとこ 氏
大塚製薬株式会社
ニュートラシューティカルズ事業部、学術担当。
熱中症予防指導員・肥満予防健康管理士として、社内外の研修等で講師としても活躍中。

 

知っておきたい『低栄養』のこと

加齢に伴う体の不具合は誰もが避けられませんが、その根本的な要因は『食事量の低下』といわれています。これにより栄養バランスが乱れ、必要なエネルギーや筋肉・皮膚・内臓などを作るタンパク質が不足した状態に陥りやすくなります。この状態を『低栄養』といいます。

一方で、自分が低栄養状態かどうかは気づきにくいもの。

実は、図1の「食生活チェック」により、簡単にチェックができるのです。該当数が多いほど、低栄養のリスクが高いとされ、毎日測定する体重や病院で測定する血清アルブミン値も参考になります(図2・3)。

 

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図1 低栄養 食生活チェック

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図2 体重チェック、図3 血液中のタンパク質チェック

引用:高齢者の食事・栄養・健康を考えるサリバン 監修 駒沢女子大学 田中弥生

 

低栄養状態が慢性化すると、タンパク質不足による筋肉量の低下から日常の動作が衰え、『飲む』『噛む』といった食べるための機能が弱りはじめます。また免疫力が低下し感染症にかかりやすくなるばかりでなく、回復期間の長期化により、結果的に寝たきりになるリスクも出てきます。

これらのことから大切なことは、日頃から自分の体をよく知って、早い時期から予防対策を行うことです。

次に予防対策の3つのコツをご説明します。

①間食を活用しよう! ~食事量を落とさないために

人によっては、食欲がない日や体調の優れない日もあり、三食の食事のみでは栄養が不足しがちです。1日に必要なエネルギー量、栄養を摂取するために間食を上手に活用し、食事で不足しがちなタンパク質、ビタミン・ミネラル等を積極的に摂るようにしましょう。

間食選びのポイントは、少ない量で栄養価の高いもの、とくにタンパク質とビタミン・ミネラルが充実しているものがおすすめです。また、次に食べる食事の量を減らすことのないよう、量とエネルギー量に配慮されたものや後味がすっきりしたものを選ぶと良いでしょう。

ご高齢者はものが飲み込みづらかったり噛みづらい方も多いので、栄養素を強化したゼリーなど市販の栄養補助食品なども活用すると、手軽にバランスよく栄養を確保できます。

②タンパク質を摂ろう! ~10食品群チェックシートの活用

低栄養の予防・改善に、大きな効果を発揮する方法をお伝えします。「10食品群チェックシート」の活用です。

これは、低栄養を防ぐのに必要な10食品を一覧にしたシートで、その日食べたものを量にかかわらず丸を付けていくことで、自然とタンパク質の摂取量が増えていくというものです。

図5の赤枠の肉・魚・卵・牛乳・大豆という5食品が主なタンパク質源となるものです。そして、緑枠の海藻・芋・果物・油・緑黄色野菜は、そのタンパク質を効率よく働かせるために必要な5食品です。これらをまんべんなく摂ることが重要です。主食・主菜・副菜を意識しながら食べると、自然とこの10食品が多く摂れるようになってきます。一日で丸が7つ以上つけられるような食生活がすすめられています(図4・5)。

 

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図4 10食品群チェックシート

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図5 10食品群シート

引用:熊谷修ほか、『日本公衆衛生雑誌』2003;50:1117-1124

 

また、筋肉作りに役立つ食材の一つが大豆です。約34%の良質なタンパク質が含まれている大豆は、「畑の肉」と呼ばれています。そのほかにも、ビタミン、ミネラル、大豆イソフラボンなど、ヒトに必要な栄養を含んでいます。お肉ももちろん優れたタンパク質源ですが、脂質量が多いのは気になります。脂質でも、様々な有用性が報告されている魚油(フィッシュオイル)がありますが、有用なタンパク質源でもある魚も積極的に摂りたいところです。

健康管理上、これだけ摂れば大丈夫という栄養はありません。種々の栄養が関係しあい、私たちのカラダを動かしているのです。“バランスよく食べる”が基本です。

③下肢を鍛えよう! ~筋肉量と筋力の維持

最後に運動の話題です。

加齢に伴い活動量が減り、運動不足になりがちです。“年のせい”とカラダを動かす機会を疎かにしてしまうと筋力低下やバランス障害を招き、転倒や外傷の引き金となる場合があります。運動は個々にあったものを選択し、決して無理せず自分に出来る範囲で継続することが大切です。

一方で、40歳以降とくに下半身の筋肉量は10年毎に5~10%ずつ低下していくことがわかっています。このような背景から筋肉量、筋力維持のための効果的な運動が求められ、日頃のウォーキングに速歩を取り入れる『インターバル速歩トレーニング』という方法が最近注目されています。

信州大学の能勢教授が考案されたもので、

(1)最初の3分間は、普通のスピードで歩く
(2)次の3分間は、足を大きく開き、息が上がるほどの早いペースで歩く
(3)(1)の普通のスピードと(2)の早いペースを3分間ずつ交互に繰り返す

という運動です。

この歩くスピードにメリハリをつけた歩き方こそ、筋力を効果的にアップできるウォーキング法とのこと(図6)。

いつまでも自分の足で歩き続けていくために、体を動かす機能を長持ちさせ、早期に食事や適度な運動で対策を行うことが重要です。

意外に思うかもしれませんが、運動時の汗に着目すると、高体力のご高齢者は、若年層と同量の発汗量です*1。一方で、汗腺の機能は加齢とともに衰えるため、汗中のナトリウム量は若年層に比べ有意に高いことが分かっています*1。いつでも手軽にできるウォーキング(1時間、21.7℃ 大塚製薬㈱佐賀栄養製品研究所データ)で失う水分量は約300mlといわれていますので、運動時には水分+イオン補給も忘れないようにしてください。

 

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図6 インターバル速歩トレーニングの有用性
引用:Nemoto K et al. Mayo Clinic Proceedings,282:803-811.2007 を基に能勢氏が作成

*1 井上芳光:体温Ⅱ(第6 章-Ⅰ発育と老化),ナップ(井上芳光,近藤徳彦 編著),pp220-237,2010

 

明日から、栄養バランスのよい食事と適度な運動で、皆さんも健康寿命の延伸に向けた対策に取り組んでみませんか。

 

 

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