【教えて!沿線のお医者さん!】「腰痛」の予防法や対処法が知りたい!(神戸大学+阪神電車)
腰痛は、一生のうちに約8割の方が経験するといわれている疾患です。腰痛はどうして起こるの?腰痛が起こったらどうしたらいいの?予防法はある?そんな腰痛の様々な疑問について、神戸大学医学部附属病院の西田康太郎先生に伺いました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2018年2月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/
<教えてくれた先生はコチラ!>
神戸大学医学部附属病院
整形外科 准教授 西田康太郎先生
治療法が確立されていない難しい脊椎疾患に対し、日々新しい治療法に取り組む。
「腰痛予防は運動が一番。私も犬の散歩を兼ねてウォーキングをしています。」
●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/
●主な腰痛の原因と症状リスト
・変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)
[主な原因]加齢などで腰椎(腰部分の背骨)が傷んだり変形したりして起こる。
[主な症状]腰部の慢性的な痛み。
・腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)
[主な原因]変形性腰椎症が進行し、神経の通り道が狭くなって神経を圧迫する。
[主な症状]腰部だけでなく、足の痛みやしびれ、麻痺、排尿・排便障害などを伴うことも。
・圧迫骨折
[主な原因]骨粗しょう症でもろくなった骨に何らかの負荷がかかり、骨が押しつぶされる。
[主な症状]寝返りを打ったり、起き上がったりするなど、体を動かすと激しく痛む。
・腰部捻挫
[主な原因]腰部を捻るなどして、筋肉や靭帯等が損傷して起こる。
[主な症状]急激な痛みを伴い、くしゃみなど些細な動作でも痛みが増す。
・椎間板ヘルニア
[主な原因]何らかの負荷で椎間板(骨と骨の間でクッションの役割を担っている軟骨)が外側の殻(線維輪)を破って飛び出し、神経を圧迫する。
[主な症状]腰部の急激な激痛の後、お尻や太ももにまで痛みやしびれが広がっていくことが多い。
・腰椎分離症
[主な原因]度重なる負荷で疲労骨折を起こし、腰椎の一部が離れてしまう。
[主な症状]運動時や後に痛みが増す。スポーツをしている中高生に多く発症する。
Q 腰痛の原因は?
原因不明が多かった腰痛ですが、画像診断の進歩により、現在では8割は原因が分かるようになりました。ご高齢の方に多いのが、変形性腰椎症や腰部脊柱管狭窄症、特に女性の高齢者に多いのが、骨粗しょう症による圧迫骨折です。比較的若い方に多い腰痛は、腰部捻挫、椎間板ヘルニア、腰椎分離症があげられます。各疾患の原因と症状は、先にあげた「主な腰痛の原因と症状リスト」をご覧ください。その他、背骨にガンが転移した場合や、尿路結石、大腸ガン、膵臓ガンなどが原因で腰痛を伴う場合もあります。筋肉や骨に異常が見られない場合は、精神的なストレスが原因で腰痛を起こしている可能性も考えられます。
Q ぎっくり腰になったらどうすればいい?
急に腰痛が起こることを総称してぎっくり腰(急性腰痛症)と言います。捻挫や椎間版ヘルニア、骨折などで起こることが多いのですが、程度が軽いものであれば、通常は安静にしていれば治ります。安静といってもずっと寝ているのではなく、痛みが悪化しない範囲内で無理なく動いたほうが、社会復帰が早くなるということが近年立証されました。ただ、動くことで痛みが悪化してきた場合や、先にあげた「主な腰痛の原因と症状リスト」にある症状の場合は重症度が高いことが考えられるので、日本脊椎脊髄病学会の指導医など、背骨に詳しい整形外科医の診察を受けてください。
[こんな腰痛は要注意!病院へ行こう]
✔寝ていても痛い
✔痛みがだんだんひどくなる、または長引く
✔足のしびれや麻痺が起こっている
✔排尿や排便障害がある
Q 湿布は貼った方がいい?
湿布を貼るのはいいと思います。ぎっくり腰など急激に腰痛が起こった当初は炎症が起きている可能性が高いので、冷やした方が楽になる場合が多いです。慢性的な痛みの場合は、一般的に温める方が効果的です。ただし、冷やした場合も温めた場合も、それで症状が悪化するようならすぐにやめましょう。
Q どんな治療をするの?
消炎鎮痛剤という昔からあるお薬に加えて、最近では、神経痛に対してのお薬も処方できるようになりました。足のしびれや麻痺がある場合は、神経痛に対してのお薬がよく効きます。お薬で不十分な場合や一箇所に痛みが集中している場合は、ブロック注射を打つこともあります。また、動いた時に痛いのであればコルセットで制動します。それらの治療でも改善しない場合や排尿・排便障害が出ている時には手術を検討します。
Q 整体やマッサージは有効?
基本的には、いきなりマッサージや整体に通うのはおすすめしません。骨粗しょう症で骨が潰れていたり、転移したガンが骨を溶かしているなど、骨そのものが弱くなっている状態でマッサージを行うと、余計に悪化する場合があるからです。特に高齢者の方がマッサージや整体に行くのは、できれば整形外科で骨に異常がないことを診断してもらってからにした方がいいですね。
Q 腰痛を予防するには?
運動をして筋肉を強化することで予防できます。最近では、運動すると痛みを抑える物質が体の中から出ることも判明しており、慢性的な痛みの緩和にも有効です。ウォーキングで十分ですが、立っていると症状が出やすい方は、プールでのウォーキングや自転車をこぐのもいいと思います。いずれにしても継続して行うことが一番大切。そのほか、カルシウムを摂取したり、日光に当たって骨粗しょう症を予防したり、重いものは体の近くで持ち上げるなど、腰に負担のかからない体の使い方をすることも大事です。
~ホッと!HANSHINとは~
グルメやカルチャー、エンターテインメント、観光スポットに関する情報など阪神沿線の様々な「魅力」をぎゅっと紹介する沿線情報紙。阪神電車の各駅や阪急電鉄や近鉄(奈良線)の主要駅などで無料配布しています(毎月25日発行)。
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阪神電気鉄道(株)は、阪神間において安全で質の高い医療の提供に取り組む神戸大学・兵庫医科大学と連携し、沿線住民の健康増進への貢献を通じた沿線の活性化を推進しています。2016年からは、子どもから大人までが健康や医療について楽しく学べる「HANSHIN健康メッセ」を開催しています。
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