【教えて!沿線のお医者さん!】体がかゆい!これって病気!?(兵庫医科大学+阪神電車)
空気が乾燥しがちな冬場には、体がかゆいという症状を訴える人が増えてきます。ただの乾燥肌だと思って放置していたら、湿疹が出てきた、かゆくて寝られないなど、症状が悪化するケースも。かゆみの原因を正しく見極めるヒントと対処法を、兵庫医科大学の今井康友先生にお聞きしました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2017年12月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/
<教えてくれた先生はコチラ!>
兵庫医科大学 皮膚科学
講師 今井康友先生
重症のアトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)患者に、新しい注射による治療や治験を行うなど、最新医療の研究に積極的に取り組む。
●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
http://www.hosp.hyo-med.ac.jp
Q かゆみの原因で一番多いのは?
一番多い原因は、肌の乾燥です。「乾皮症」といって、肌がガサガサしたり、粉をふいたり、ひび割れしたりする症状が現れると、多くの場合かゆみを伴います。これは、皮膚の表面にある皮脂が減少し、肌の水分保持機能が低下することで起こります。皮脂の分泌量は加齢とともに減少するため、高齢者は乾皮症になりやすいといえます。乾皮症が悪化すると、皮膚が炎症を起こして湿疹などを発症する「皮脂欠乏性湿疹」になり、かゆみが増加します。
Q 乾皮症を悪化させる要因は?
肌に刺激を与えることで悪化しますので、かゆいからといって掻(か)くのは厳禁です。また、洗浄力の高い石鹸やボディソープでゴシゴシ洗うのも肌を乾燥させ、症状を悪化させる要因。石鹸やボディソープの使用をやめるだけで、湿疹が治ったという患者さんも多いんです。熱すぎるお風呂に入るのも、肌に刺激を与えるのでやめましょう。
Q 乾皮症はどうすれば治る?
一般的には、クリームや乳液、オイルなどの保湿剤で油分を補ってあげることで改善されます。高級なものを使う必要はまったくありません。安価なものでかまわないので、たっぷりと1日2回以上は塗布してください。保湿剤の伸びが悪いほうが肌によく付着するので効果的ですが、ベタベタするのを嫌がるお子さまなどには、塗り心地のいいものを使用してあげてください。なお、先述したように、「掻く」「石鹸やボディソープでゴシゴシ洗う」ことをやめるだけで治ることがあるので、心当たりのある方は、まず試してみてください。
Q 病院に行った方がいいのはどんな時?
湿疹が出て炎症を起こしている場合は、ステロイド剤での治療が必要となるので受診した方がいいでしょう。湿疹が出ていなくても、眠れないほどかゆい場合は、かゆみが取れてよく眠れるお薬があるので、病院で処方してもらってください。また、ステロイド剤を使用しても湿疹が改善されない場合や、見た目はまったく乾燥していないのにかゆい時は、乾燥が原因ではなく、別の疾患にかかっている可能性があります。その場合は、大きな病院で詳しく検査してもらった方がいいでしょう。
Q 湿疹があっても乾燥が原因でない場合って?
最近、肌に湿疹のようなものがあって、とてもかゆいという症状を訴えて受診される患者さんが、「疥癬(かいせん)」だったというケースが増えています。疥癬は、ヒゼンダニというダニが皮膚に寄生して起こる病気で、ヒトからヒトへうつります。特に免疫力が低下している患者さんの間で流行する可能性があります。疥癬の治療には、虫下しの服用が必要となるのですが、肉眼ではまったく見えない小さな虫が寄生しているため、内科では見つけられず処方してもらえないことがあります。その際は、皮膚科を受診してください。
Q 乾燥していないのにかゆいのは危険!?
一般の方が見て、肌がしっとりしているのにかゆみを伴うときは、皮膚科医が診察するとアトピー性皮膚炎による乾燥肌である場合があります。それとも違う場合は、ガンや糖尿病、腎障害、肝障害などの疾患が原因でかゆみが起こっている可能性があります。かかりつけの病院で肌に異常がないと診断された場合は、大きな病院で血液検査などの詳しい検査を受けることをおすすめします。肌が乾燥していないのにかゆみがある人こそ、大きな病気が隠されている可能性がありますから、ぜひ受診するようにしてください。
Q 皮脂を増やす方法はある?
残念ながら、皮脂を増やす方法も、加齢による皮脂分泌量の低下を抑える方法も今のところ解明されていません。脂っこいものを食べたら皮脂が増えるという訳でもありません。こまめに保湿して油分を外から補うことで、皮脂の代用をするのがもっとも効果的です。
① 乾皮症の可能性あり。石鹸やボディソープでゴシゴシ洗うのをやめる、保湿剤を塗るなどのケアを!改善しない場合や、眠れないほどかゆい場合は病院へ。
② 皮脂欠乏症湿疹の可能性あり。症状がひどい場合は、病院で適切な薬を処方してもらおう!
③ 重症な皮膚炎の可能性あり。内服薬で治療する必要があるので、皮膚科を受診して!
④ アトピーが改善したと思っている患者さんや、典型的なアトピーの症状が現れる前のお子さまなどに多く見られる特有の乾燥肌。保湿剤をこまめに塗ることで悪化を防ぐことができる。
⑤ガン、糖尿病、腎障害、肝障害などの疾患にかかっている可能性あり。大きな病院で詳しい検査を!
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