【教えて!沿線のお医者さん!】実は知らなかった!血圧にまつわるお話(神戸大学+阪神電車)

「症状がないから高血圧でも大丈夫」と思っている人はいませんか?
症状がなくても高血圧は、体にダメージを与え続けているのです。新年会・忘年会などで飲酒の機会が増える時期ですが、飲酒は高血圧の原因にも!高血圧が心配な人から、低血圧の定義が分からない人まで、実は知らなかった血圧にまつわる話を、神戸大学医学部附属病院の小林成美先生にお聞きしました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2017年12月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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<教えてくれた先生はコチラ!>

神戸大学医学部附属病院
循環器内科 助教 小林成美先生
心血管病の入院患者に対し、理学療法士、栄養士、薬剤師、看護師と連携し、運動療法、生活・栄養・薬剤指導などを行う心臓リハビリテーションに取り組んでいる。

●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
http://www.hosp.kobe-u.ac.jp/


Q そもそも血圧って何?

血液が血管を流れる時に、血管の壁が感じる圧力のことです。最も圧力がかかるのは心臓が収縮した時で、その圧力を収縮期血圧(上)、最も圧力がかからない時の血圧を拡張期血圧(下)といいます。

Q 低血圧の定義は?

低血圧の厳密な基準値はなく、血圧が低くて、立ちくらみや気分不良、めまいなどの症状がある場合に低血圧症と呼んでいます。そういう方には、鉄欠乏症貧血や心不全、自律神経失調症などの病気が隠れていることがあります。一方、収縮期血圧が100mmHg以下でも症状がない場合は、心配はいりません。怖いのは、急激に血圧が低下すること。普段の収縮期血圧が正常の方でも、出血多量や熱中症による脱水症状などで、急激に血圧が下がって循環不全や意識レベル低下をきたし、危険を伴う場合があります。

Q 高血圧の定義は?

家庭で測定した血圧が、上135mmHg、下85mmHg(診察室で測定した場合は上140mmHg、下90mmHg)のどちらかの数値を超えている場合は高血圧と判断します。

Q 高血圧になるとどうなるの?

血管に強い圧力がかかるため血管が傷つき、そこにコレステロールや炎症細胞という悪い細胞がどんどん入ってきて、血管が硬くなったりもろくなったり狭くなったりする、つまり動脈硬化を進めます。動脈硬化が進行すると、脳卒中、心筋梗塞などのリスクが高まります。高血圧は、自覚症状がないことがほとんどですが、体の中では、死に至る病気のリスクが高まっているため、「サイレントキラー」と呼ばれています。

Q 高血圧になる原因は?

主な原因として下の10項目があげられます。9割の方は、本態性高血圧という原因不明のもので、おそらく遺伝が原因です。両親や祖父母に高血圧の方がいらっしゃる場合は、高血圧になる可能性が非常に高いといえます。残りの方は、食事や喫煙、運動不足などの生活習慣が原因のことが多いです。そのほか、睡眠時無呼吸症候群、ステロイド剤の服用、糖尿病、腎臓病などの内臓疾患、褐色細胞腫など、ほかの病気が原因で高血圧になる場合もあります。

[高血圧を招く原因]
✔塩分の多い食事
✔飲酒
✔喫煙
✔運動不足
✔ストレス
✔睡眠不足
✔肥満
✔老化
✔遺伝
✔閉経

Q 高血圧はどうすれば治せる?

病気や生活習慣が原因で高血圧になっている方は、改善すれば下がります。遺伝的要因で高血圧になっている方も生活習慣を改善することで下がる場合が多いです。毎日30分の有酸素運動を取り入れる運動療法は特に有効。運動はしているという方も多いかもしれませんが、強度が強すぎる(週末はテニスをして激しく動いているなど)場合も、弱すぎる(犬の散歩で毎日ゆっくり歩いているなど)場合も、運動療法としての効果は少ないです。速足(息切れせずに汗ばむ程度)でウォーキングするのが一番おすすめです。それでも低下しない場合や、極度に血圧が高い(180/110mmHg以上)方は、降圧薬での治療が必要です。

Q 降圧薬は一生飲み続けるの?

降圧薬を服用しながら、生活改善などを行うことで血圧が下がって安定し、お薬の量を減らしたり、必要がなくなったりする方もたくさんいらっしゃいます。降圧薬は副作用がほとんどなく、飲み続けたからといって効かなくなることも、止めたリバウンドで血圧が前より高くなるということもありません。高血圧を放置していれば、血管の老化は進む一方。血管は肌を含め体中をめぐっていますから、アンチエイジングのためにも受診を検討してみてください。お薬がどうしても嫌だという方には強要することもありません。

Q 正しい測り方は?

上腕で測るタイプの血圧計で、喫煙後や飲酒後は避け、1~2分安静にした後に測定してください。起床後トイレに行って、朝ごはんやお薬の服用前に測るのがおすすめです。1日に2度測れる方は、寝る前にも測定してください。1度の測定で2回測り、その平均値を記録することを推奨しています。

Q 血圧計がないとダメ?

血圧計以外に測る方法がないのでやはり必要ですね。お持ちでなければ、公共施設などにある測定器をご利用いただいても構いません。女性の場合は、低血圧だと思っていらっしゃった方でも、更年期を境に高血圧になる方が非常に多いんです。男性は30歳、女性は40歳を過ぎたら、せめて定期検診で1年に1回は測定するようにしてください。

 

 

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