【教えて!沿線のお医者さん!】血管年齢を若返らせたい!(兵庫医科大学+阪神電車)

血管の老化具合を知る「血管年齢」。実年齢より高い人は病気になる危険性も!自分の「血管年齢」を知るにはどうすればいいの?若返らせることはできる?など、気になることを、兵庫医科大学の江口明世先生にお聞きしました。

※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2017年11月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。

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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/


<教えてくれた先生はコチラ!>

兵庫医科大学 内科学 循環器内科・総合診療科
助教 江口明世先生
肺高血圧症や心不全の運動療法による改善などの研究を行う。火曜と水曜に外来を担当。
「当院の健康医学クリニックで行っている人間ドックでは、血管年齢も測定しています。ベテラン医師が診察、検査、結果説明を担当しますよ。」

●兵庫医科大学病院 武庫川駅→徒歩約5分
http://www.hosp.hyo-med.ac.jp


Q そもそも血管年齢って何?

血管年齢とは、一般的に血管の硬さの度合いだと考えていただければいいと思います。血管は、血圧に合わせて伸び縮みするのですが、生まれた時は非常にしなやかで弾力性に富んでいます。ところが年をとるにつれ、血管の弾力性に関係する平滑筋細胞や弾性線維などが減少したり、血管壁が石灰化して、弾力性が失われていくのです。これは老化現象のひとつなので、避けられないことですが、中には実年齢以上に老化が進んでいる、つまり血管が硬くなっている方がいらっしゃいます。血管が硬くなると、様々な病気のリスクが高まりますので、血管年齢が高い方は、病気にかかっている、または、かかりやすい状態である可能性があるといえます。私は、人間ドックの担当をしていたことがあるのですが、血管年齢が若い方は、肌ツヤが良く、ハツラツとされている方が多い印象でした。

Q 血管年齢が高いとどうして病気のリスクが高くなるの?

血管年齢が高いのは、動脈硬化が進行している状態。動脈が硬くなったり、狭くなったりしているため、血液の流れが悪くなる病気にかかりやすくなります。具体的には、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血、閉塞性動脈硬化症(※1)などです。また、高血圧は動脈硬化を引き起こし、動脈硬化が高血圧を引き起こすという悪循環を招きます。高血圧になれば、動脈瘤や心肥大などの病気にかかるリスクが高まります。血管年齢が高い方は、動脈硬化が進行し、高血圧になりやすい(またはなっている)状態ですから、これらの病気にも注意が必要です。

※1 足の血管の動脈硬化により血液の流れが悪くなる病気。足の狭心症や心筋梗塞のようなもの。

Q どうして血管年齢が高くなるの?

先述した通り、血管が硬くなるのは、老化現象のひとつではあるのですが、それ以外にも、血管に酸化ストレス(※2)や糖化ストレス(※3)がかかることで硬くなる、つまり血管年齢が高くなる可能性があることが知られています。ストレスは、次にあげるチェック内容のような生活習慣をしていると、かかりやすくなります。

※2 酸化ストレス…ウイルスなどを攻撃する活性酸素が必要以上に産生される状態。老化の原因になるといわれている。
※3 糖化ストレス…血糖値が過剰に上がってしまう状態。代謝に悪影響を及ぼすといわれている。

危険!チェック -こんな生活習慣が血管年齢を高くする-
☑check!
□ たばこを吸う
□ 運動不足である
□ 睡眠不足である
□ 甘いものをよく食べる
□ コンビニ食やインスタント食品が多い
□ 食事をする時間が不規則

Q 血管年齢を知るにはどうすればいいの?

病院で検査できるほか、人間ドックの標準項目にも含まれています。ベッドに横たわって両手両足の血圧と脈波を測定するだけの、全く痛みを伴わない検査です。一般的にはPWVという測定器が使われているのですが、これは、その日の血圧の変動で数値結果が左右されてしまうという弱点があります。その弱点をクリアできるのがCAVI(キャビ)という測定器。当院ではCAVIを使用しています。

Q 血管年齢が高い場合はどうすればいいの?

先述した血管年齢を高くしてしまう生活習慣がある人は、改善すれば早い方なら1~2か月で若返ります(高脂血症や高血圧など、すでになんらかの病気を発症している方は除く)。また、正確な動脈硬化判定が行える「頸動脈エコー」で、より詳しい検査をされることをおすすめします。その結果、頸動脈にプラークなどの沈着による頸動脈狭窄が見つかる可能性もあります。

Q 血管年齢を若く保つためには?

ストレスのかからない生活を送ることです。具体的には、下のような生活を心がけください。マイナス10歳くらいは目指せると思います。血管年齢を知ることは、今の生活習慣を見直すきっかけにもつながります。半年から1年に1回、人間ドックで定期的に検査されることをおすすめします。当院を受診される場合は、紹介状が必要ですが、人間ドックの検査結果をお持ちいただければ、紹介状の代わりにもなりますよ。

★こうすれば血管年齢は若くなる!★
●たばこを吸っている人は今すぐやめる
禁煙期間が長いほど、心血管疾患や脳卒中による死亡リスクも減らせます。

●睡眠は6時間以上とるのが理想
朝目覚めても、まだ眠くて2度寝してしまう人は睡眠不足かも?寝る前にはスマホを見ない、起床後は朝日を浴びるなど、睡眠の質を高めることも大切!

●野菜を多めにバランスのいい食生活を!
野菜は最初に食べることで糖化ストレスを防止できます。20時以降に食事をするのも避けましょう。

●1週間で計150分ほど適度な運動を心がける
10分ずつの細切れでもいいので、とにかく体を動かして!少し汗が出る程度の運動でOK。

●紫外線をなるべく避ける
血管年齢との関連性はまだ証明されていませんが、紫外線も酸化ストレスを引き起こします。避けるのが無難。

●食品添加物は極力とらない
食品添加物は酸化ストレスを与えます。コンビニ食やインスンタント食品などは極力避けましょう。

 

 

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阪神電気鉄道(株)は、阪神間において安全で質の高い医療の提供に取り組む神戸大学・兵庫医科大学と連携し、沿線住民の健康増進への貢献を通じた沿線の活性化を推進しています。2016年からは、子どもから大人までが健康や医療について楽しく学べる「HANSHIN健康メッセ」を開催しています。
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