現代型夏バテ!? 実は『夏やせ』より多い『夏太り』?
2017.06.28
6月も下旬となり、夏はすぐそこまで来ています。今年の夏も猛暑・酷暑となる噂もちらほら……。暑い夏を健康的に乗り切るために、最近の夏バテ事情について、大塚製薬の学術担当者に解説いただきます。
やまひら さとこ 氏 |
夏は暑さで食欲が落ち、やせる人が多いというイメージがあります。ところが、夏場に太る人はやせる人のおよそ3倍いることが明らかになりました。とくに30代では約4割が夏太りを経験しているとのことです。しかも、夏太りの9割は、秋になっても体重が戻らないとの調査結果も。
そこで今回は、『太るサイクル』を断ち切るためにも、夏太りの原因を探りたいと思います。
参考 ウーマンウェルネス研究会 supported by Kao「夏の体重変化実態調査」
原因その① ~夏は冬より基礎代謝が低い!?
体温の維持は、基礎代謝として使われるエネルギーの中で最も大きいといわれています。冬場は体温維持のため体内で熱産生し基礎代謝が上がるのに対し、夏場はあまり熱を作る必要がなく基礎代謝が下がってしまいます。そのため夏場に他の季節と同じような食事や運動を続けていると、カロリー消費量が少ないことから、太りやすくなると考えられています。
参考 藤本ら1954:小池五郎「やさしい栄養学」(女子栄養大学出版部より)
原因その② ~日常の活動量が減る
夏は、暑さを避けるために運動や外出を控えがちになります。また、酷暑のなかで運動することは健康上の危険もともなうことから、運動する機会が減りがちです。日々の小さな積み重ねですが、結果的に夏場は生活の中での活動量が減り、このことが消費カロリーの減少に影響を及ぼし、夏太りの要因の一つとして考えられています。朝や日没後に散歩をするなど、暑い時間帯を避けてカラダを動かすようにしたいものです。
原因その③ ~カロリー過多と栄養不足
夏は食欲が落ちることを言い訳に、コンビニでおにぎり2個とお茶、ベーカリーで菓子パン2個とジュース、あるいはひやむぎ、そうめんなどの冷たいものをつい口にしてしまいがち。でも、これらの中味をよくみると、栄養学的には“炭水化物がメインの食事”となります。いわゆる “炭水化物の単品食べ”を継続すると、摂取したエネルギーを活用できず、身体がだるくなったり、体脂肪や体重が増えてしまうという”栄養失調太り”になりがちです。
例えば、ご飯や麺などをカラダに役立つ形に代謝するためにはビタミンB1が必要ですが、穀類主体の食事では不足することが分かっています。また、パン類や揚げ物などに含まれる脂質をエネルギー源としてカラダで利用するためにはビタミンB2が必要ですが、このような食事では十分ではありません。つまり、夏に食べがちな食事は、カロリーは足りているのに栄養バランスとしては決して良くない状態です。これにより、代謝が滞り食べたものがスムーズに消費されず、”栄養失調太り“を引き起こし易くなります。
これを防ぐ方法ですが、食生活の面では、“炭水化物単品食べ“を控えて、定食を利用したり、一品でも多くおかずや野菜を食べることが大切です。例えばランチにコンビニのおにぎりやそうめんだけを食べるのではなく、サラダや、納豆など大豆製品、ゆで卵、魚系の缶詰をプラスするだけでも違います。最近は、栄養バランスを考えたゼリータイプの栄養補助食品も多くあります。夏場の食事にプラスして、栄養バランスを意識した“夏太り対策”に取り組んでみてはいかがでしょうか。