春の“花やか”ナチュラルメイク 6つのポイント

春は、気温の上昇や紫外線の増加などの影響で肌の状態が不安定になりやすいと言われています。そんな春の肌の悩みをちょっとした工夫でカバーできるナチュラルメイクのテクニックを、メイクアップアーティストの三橋ただし先生に教えていただきました。

三橋先生は、特別な日の装いを演出する“華やかさ”ではなく、その人自身が元々持っている、内側から輝き出すような美しさ=“花やかさ”を引き出すメイクを提案されています。“花やか”ナチュラルメイクは、普段のメイクにもぴったり。ぜひ春の新生活に取り入れてみてください。

メイクアップアーティスト:三橋ただし先生
読者モデル:中尾良子さん

<目次>
●素肌を生かすベースメイク
1.日焼け止めは顔全体にしっかりと
2.ファンデーションはメリハリをつけて
3.“花やか”を引き出す隠しテクニック

●見せない“花やか”ポイントメイク
4.目元を明るく“花やか”に彩るテクニック
5.まつげと眉メイクは基本を守って丁寧に
6.チークとリップは2色使いでナチュラル感アップ

素肌を生かすベースメイク

1.日焼け止めは顔全体にしっかりと

春の紫外線量は、実は真夏とそれほど変わりません。紫外線カット効果のあるファンデーションや下地クリームなどもありますが、三橋先生のおすすめは、日焼け止めをしっかりと顔全体に塗ること。ファンデーションと日焼け止めは別に考えたほうが良いですね。しっかりと日焼け止めを塗れば下地は必要ありません。むしろ、下地を使わず仕上げたほうが、厚ぼったくならずナチュラルに仕上がります。日常生活であれば、SPF30、PA++で十分。あまり数値が高いものは、かえって肌に負担がかかることもあるので注意しましょう。

2.ファンデーションはメリハリをつけて

ファンデーションは額の肌色にあわせて選び、ナチュラルに仕上がるリキッドタイプを使用します。鏡で顔を見ながら、目頭、小鼻、目尻を結んだ三角形の真ん中にファンデーションをのせましょう。この部分はファンデーションが崩れにくいので、しっかり塗っても大丈夫。左右の頬の三角形以外の部分は、スポンジ等を使ってできるだけ薄くのばすのが基本です。肌に大きなトラブルがないなら、額は特に薄くのばしてください。額や口元にファンデーションを厚く塗ると、シワにファンデーションが入り込んで、笑った時に目立ってしまいます。両頬の三角ゾーンはしっかりと、それ以外はできる限り薄く塗るのが、若々しく立体的に見えるポイントです。

3. “花やか”を引き出す隠しテクニック

肌の色より一段明るいリキッドファンデーションを、両目の下のクマになりやすいところ(骨の上)と、両目の間の鼻の上に置いてのばします。このひと手間をかけることで、近くで見てもわからないほどナチュラルな仕上がりなのに、肌に健康的なうるおい感が生まれて“花やか”になります。鼻を高く見せるためとか、骨格を修正するのが目的ではありません。ファンデーションを肌になじませた後は、透明感のあるルーセントタイプのパウダーを、ブラシを使って顔全体に薄くのせて仕上げます。

見せない“花やか”ポイントメイク

4.目元を明るく“花やか”に彩るテクニック

肌なじみがよく光沢感のある、オレンジ系ベージュのアイシャドウをブラシに取り、アイホール全体にのばします。目の下には少しパール感のあるホワイトを、さらに、目頭の涙腺の下にも、もう少しパール感の強いホワイトをのせます。こうすることで、目元に自然なうるおい感が出て、明るく仕上がります。ただ、あまりやりすぎると失敗してしまうことも。はっきり見えるほど色をのせてしまうと、隠し味になりません。ナチュラルメイクの極意は、メイクを“見せない”ことです。アイラインも、ウォータープルーフタイプのものを、まつげの隙間を埋めるように使い、外からは見えないように仕上げるのがポイントです。

5.まつげと眉メイクは基本を守って丁寧に

上まつげは、ブラシをかけて毛流れを整えた後、ビューラーをかけます。繊維が入っていないタイプのマスカラを丁寧に塗り、マスカラを塗った後にもう一度ブラシをかけて1本ずつ整えます。下まつげはブラシの先を利用し、タテ方向に付けていきます。この時、ブラシをヨコ向きにして一度に付けようとすると、きれいに仕上がらないので注意しましょう。

眉は、眉尻を強くせず優しい雰囲気に仕上げるのがポイント。今回の中尾さんの場合は、眉山の下の毛流れが切れているところに、グレー系のアイブローペンシルで書き足しました。ペンシルの色は、頭髪にあわせるのが基本です。最後に、ベージュ系ブラウンのパウダーアイブローをブラシにとって、眉のアウトラインを柔らかくぼかします。

6.チークとリップは2色使いでナチュラル感アップ

チークは、目の下から、笑った時に頬が最もふくらむ位置にかけて入れます。カラーは、健康的な血色を感じさせるオレンジ系とピンク系の2色を混ぜながら使うのがベスト。1色だけを使うよりも、2色を混ぜることで少し色むらが出て、より自然な頬に近い仕上がりになります。また、チークはブラシの毛先をヨコに動かして入れるようにしましょう。毛先をタテに使ったり、チークを頬骨の下にまで入れたりするのはNGです。

リップも、チークと同じ系統のオレンジとピンクを混ぜながら使うと、より自然な色味に仕上がります。最後に透明のグロスで少しツヤ感をプラスしてメイクフィニッシュです。

before & after

メイクレクチャーを終えて…
若い頃と比べて肌質が変わってきているのに、今の自分にどんなメイクが似合うのかわからなかったんです。今回、三橋先生にメイクしていただいて驚いたのは、たくさん塗らないのに肌色が一段と明るくなっていること! まるで魔法にかかったようです。ナチュラルメイクは、ポイントを抑えつつ、化粧品を使いすぎないのが大切だとわかりました。

三橋先生からのメッセージ

“花やか”ナチュラルメイクは、その人自身が持つ内面の豊かさを引き出してくれるメイクです。豊かさとは心の余裕であり、「時間をかける」ということにもつながります。一つひとつの行程を丁寧に行うことで、内面から“花やか”で自然な美しさが現れてきます。
すべてのメイクに言えることは、流行やトレンドよりも、どんな自分に見せたいのかが大切だということ。「こうありたいと思う自分」をイメージしながら、ご自身の顔に、ほんの少し先の未来の「生きざま」を描いていきましょう。


ヘア&メイクアップアーティスト
三橋ただし先生
美容室勤務後、フリーランスのメイクアップアーティストとして独立。1992年に「ただし事務所」を設立。ファッション関係の多方面にわたって、雑誌、ポスター、CFなどの幅広いメディアで活躍している。特にナチュラルメイクによる肌の質感を出すテクニックには定評があり、業界内外から支持を得ている。化粧品企画、商品開発、プロデュースなども手掛けるほか、「三橋ただしメイクアップアカデミー」も開講中。