【教えて!沿線のお医者さん!】痛くてツライ外反母趾(がいはんぼし)どうすればいい?(神戸大学+阪神電車)
親指の付け根に疼痛(とうつう)や激痛が起こる外反母趾。患者数は日本人の約30%といわれています。そのうちの約9割が女性であることからハイヒールが原因と思われがちですが、実際はそれだけではないようです。神戸大学医学部附属病院の神崎至幸先生に詳しく伺いました。
※この記事は、阪神電車の沿線情報紙「ホッと!HANSHIN」2022年10月号に掲載された情報であり、掲載時点の情報となります。また、駅名表記について、記事に特段記載がない限り、阪神電車の駅となります。
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https://healthcare.hankyu-hanshin.co.jp/doctor/
<教えてくれた先生はコチラ!>
神戸大学医学部附属病院 整形外科
特命助教 神崎 至幸先生
足部(足首から下の部分)の外傷や疾患を専門とする。重症の外反母趾患者も多く診察。手術をせずに症状を改善させる治療にも積極的。
『重症化を防ぐために、指の変形が少しでも軽いうちから治療を開始するようにしてください。』
●神戸大学医学部附属病院 高速神戸駅→徒歩約15分
https://www.hosp.kobe-u.ac.jp/
Q 外反母趾とはどんな病気?
本来真っすぐに伸びているはずの足の親指が変形して隣の指のほうに傾き、親指の付け根に出っ張り(バニオン)ができる病気です。レントゲン撮影で、親指の基節骨(きせつこつ)(根元の骨)と中足骨(ちゅうそくこつ)(基節骨とつながる足の甲を構成する骨)が成す角度が20度以上であれば、通常外反母趾であると診断します。主な症状は、靴を履くときにバニオンに生じる痛みです。ただし、痛みの強さと変形の度合いは比例しません。痛みがないからと放置して重症化し、親指がひどく曲がって隣の指の上や下に重なってしまう人もいます。
Q 外反母趾になる原因は?
明らかな原因は分かっていません。通常、人は歩くとき、親指で地面を踏みしめます。この時、指の間の筋肉や母趾外転筋(親指を外側に開く筋肉)が働き、親指が内側に傾くのを防ぐことができます。そのため、指を使わずにペタペタと歩いたり、加齢などで筋力が弱まったりすると、外反母趾になりやすいといえます。ハイヒールのように足先が細い靴も、指を圧迫して外転筋が使えなくなるので発症に影響します。しかし、ハイヒールを履いても発症しない人や、ハイヒールを履いたことがない男性や子どもも発症することから、遺伝や生まれつきの骨格、ケガなども関係するといわれています。
Q 治すことはできる?
外反母趾で変形した骨格を自然に戻すことはできません。しかし、運動療法(下表参照)と、アーチサポート(靴の中敷き)の着用によって、痛みを軽減することはできます。アーチサポートは、5本の指の付け根を弓状に結ぶ「横アーチ」を強化するのが主な目的。横アーチが崩れると、足の指が横に広がってしまう状態(開張足(かいちょうそく))になるため、親指の付け根に靴が当たって外反母趾を悪化させます。外反母趾患者は、土踏まずにあたる「内側縦アーチ」も崩れて扁平足(へんぺいそく)になっている人も多いため、両方を支えるアーチサポートを提案することが多いです。個々に足型を取ってオーダーメイドで作るため、両足で約4万円かかりますが、外反母趾の場合は保険が適用されるので、3割負担なら約1万2,000円です。これらの療法で改善が難しいほど重症な場合は手術を検討します。いずれの治療も「足の外科」で調べて該当する医院なら受けられると思います。また、足幅がフィットし指先を動かせる余裕がある靴を履くことも大切です。親指が少し傾いている程度で痛みがなく、医師にかかるほどではないという方は、市販のインソールで予防するのもオススメです。
◆外反母趾の運動療法に適した体操
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